犬のしつけの基本(4) フセ・ハウス

「フセ」

次にチャレンジしたいのがフセです。
犬の胸とお腹が地面に付いている状態が「フセ」の姿勢ですが、飼い主さんの指示により「フセ」の姿勢をとることは、服従心の表れでもあるといわれています。
また、犬を待たせているときなどにも犬が「フセ」の姿勢をしていると、犬だけでなく飼い主さんや周囲の人にとっても安心です。
それでは、さっそく「フセ」をやってみましょう。

「フセ」をやってみよう
1. 犬の目線におやつを持っていき注目させます。
2. おやつに注目させながら、おやつを床まで真下に降ろします。
3. 自然と胸が床について「フセ」の状態になります。もし、腰だけが上がっているようでしたら、軽く腰を押してあげると良いでしょう。
4.フセの状態になったときに「フセ」と号令をかけ、おやつを与えて体を2〜3回優しくなでてあげましょう。
上記のようにすることで犬は、おやつを求めて口を近づけて床に胸がついたら腰を下げられ、「フセ」という声が聞こえてきて、次に欲しいものを得られたという経験をしました。
この経験を繰り返すことで、「フセ」と聞こえる ⇒床に胸を付けて腰を下ろす⇒ ご褒美をもらえる、と犬は認識します。

最初は屋内や静かな場所など犬が集中できる場所から練習を始めた方が良いでしょう。
また、ご褒美となるおやつは、犬が「フセ」の姿勢をとったことに対して与えることが重要なので、4 の場面で上手く「フセ」の姿勢がとれず立ち上がってしまったときにご褒美を与えてしまうと、「立ち上がったこと」を褒められたと間違って覚えてしまうので気をつけましょう。
また褒めるときは、落ち着いた声で優しくゆっくりと体をなでるといいでしょう。
犬を興奮させないように褒めることが効果的です。
将来的には号令だけで「フセ」をさせるために、初めは練習の都度おやつを見せますが、「フセ」の言葉を理解した頃には、おやつを与える頻度を3回のうち2回、3回のうち1回・・・と徐々に減らしていきましょう。

 

 

「ハウス」

 

 

犬にとってのハウス
犬にとってハウスとは、どんなものでしょうか?
閉じ込められてしまう檻でしょうか。あるいは身を守ることのできる、落ち着けて安全な場所でしょうか。
犬の先祖は、洞穴で生活していたと言われていますが、洞穴の環境に似た「自分から周囲は見渡せるが、周りを囲われている、少し狭いスペース」は、安心して休むことができる場所のようです。
お家の中にケージやキャリーバッグなど、犬があんしんできる空間を用意してあげると良いでしょう。
また、いつも家族と一緒に暮らす犬にとって、広い室内でお留守番をするよりも、少し暗くて狭くはあるけれども自分が守られていると感じることのできる空間の方が、不安や寂しさを減らしてあげることができるかもしれませんね。

普段から「ハウス」に入る習慣が身についていれば、動物病院やペットサロン、旅行先などでも、ケージやキャリーケースの中に犬が落ち着いて入っていてくれますので、「ハウス」というしつけによって、このようなおうち以外の場面でも犬が安心して過ごせるようになります。
少しずつ練習をして、「ハウス」という飼い主さんの掛け声が聞こえたら、何をするのかを犬に教えてあげましょう。
ケージやキャリーバッグに慣れるには、まずハウスが「楽しくて安心できるとってもいい場所」と教えてあげることから始めましょう。
1.犬の大好きなもの(おやつ、おもちゃなど)を用意しましょう。
2.大好きなものを犬に見せ、注目している間に大好きなものをハウスに入れ、誘います。
3.ハウスの中に入ったら、思いっきり褒めてあげましょう。
4.おそらく犬はすぐに出てくるでしょう。
5. 2 に戻って、何回か繰り返します。
(あるいは、すぐ出てきてしまったときのことを見越して、おやつやおもちゃなどをもう一つ、ケージやキャリーバッグの入り口に置いておいても良いでしょう)


1から5を繰り返すことで、犬に「ハウスの中に入ると楽しいことがある」と感じさせてあげましょう。
無理やりハウスに押し込んだり、扉を閉めてしまうとハウスが嫌いになってしまい拒否反応が出ることもあります。飼い主さんは「ハウスに入るゲーム」のように見立てて、犬と一緒になって遊びを楽しんでも良いでしょう。


ハウスを、楽しい空間だと犬が認識できるようになったら、次は「ハウス」という号令とハウスに入ることを結びつけましょう。
1.犬にご褒美を見せます。
2.ハウスの中にご褒美を置き、ハウスに入るタイミングで「ハウス」と号令をかけます。
3.犬がご褒美を食べている間に、ハウスに入ったことを褒めます。
4.すぐに出てきても「ハウス」という号令に従ったことを褒めてあげましょう。
1から4が上手にできるようになったら、ご褒美をあげる頻度を減らしていきながら、練習を続けましょう。
5.ご褒美を手に持ち、「ハウス」と号令をかけます。
6.ハウスに入ったら、「よし!」や「いいこ!」などの褒める言葉をかけてご褒美を与えましょう。


「ハウス」という号令で、ハウスに入ることができるようになったら、あと一歩です。
次は、扉を閉めた状態でも犬が落ち着いていられるようになる練習です。
1.「ハウス」と号令をかけて犬がハウスに入ったら、褒めてからご褒美を与えます。
2.犬の様子を見ながら、扉を閉めましょう。
3.褒めながら扉の反対側や側面からご褒美を与えて、ハウスは楽しいと感じさせてから扉を開けましょう。
※始めはほんの数秒からはじめ、徐々に時間を長くし、ご褒美をあげる頻度は減らしていきましょう。


最終的には、ご褒美がない状態でも「ハウス」の掛け声に従い、さらに長時間ひとりでも安心して過ごすことができるようになったら、大成功です。

 

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みなさんからのコメント

Comment
アニコム獣医師・兵藤
2020-03-26 12:07:45
>のばぴー様
食べてくれないと心配ですよね。子犬でなければ、いろいろ混ぜない状態のごはんをあげる⇒食べなければすぐに下げる、ということを繰り返すことで、ワンちゃんが「すぐ食べないと無くなってしまうんだ」ということを覚えてもらうようにするのがいいかと思います。あるいはお湯でふやかすと匂いが立つので、食欲が刺激される場合もあります。心を鬼にして、ワンちゃんのためにのばぴー様も頑張ってください!
のばぴー
2020-03-25 15:51:39
餌を食べなくなってしまったので 色々混ぜてあげているうち 餌だけは 全く食べなくなってしまいました
分かってはいたのですが 食べないのが心配のあまりつい…
どうしたらいいのでしょうか?

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