どうぶつは自分の病状を言葉で伝えることができません。飼い主さんは少しでも診断の参考になるものを持参していただき、獣医師さんに少しでも多くの情報をお伝えしましょう。そして、このことが的確な診断や快癒につながると嬉しいですね。
症状にかかわらず、共通して診療の参考になる項目
あらかじめ、我が子の様子をメモしておき、必要な事項を獣医師さんに伝えましょう。
□ 症状に気付いた時期
□ 生活上で何か変わったことはなかったか
□ 食欲はあるか
□ 元気はあるか
□ 熱はあるか
□ 症状の変化
□ 食事量の変化
□ 飲水量の変化
□ 便や尿の状態の変化
下痢の症状で受診するとき
このような時にはなるべく早く受診しましょう。
・食欲がない、元気がない、嘔吐、発熱などの下痢以外の症状を伴っている。
・他に症状はないが何日も下痢が続いている。
・便に血液や粘膜が混ざっている。
・異物や毒物などを食べた可能性がある。
分かっていると参考になる項目
下痢の診断・治療を行う上で、その原因が小腸にあるのか、大腸にあるのかをはっきりさせることが重要です。そのためには以下のような項目が手がかりとなります。
□ うんちの回数(普段と比べて多い/少ない/変わらない)
□ 色(茶色い/黒っぽい/白っぽい/赤い など)
□ 固さ(軟便/泥状便/水様便 など)
□ 1回の量(多い/少ない)
□ しぶり(何回もうんちをしたがる様子)の有無
□ うんちに混ざっているものはないか(寄生虫/粘膜/血液/未消化物/異物 など)
□ 吐き気を伴っているか
□ 変わったものを食べた可能性があるか(いつもと違うフードやオヤツ/異物や毒物摂取の可能性 など)
持参すると良いもの
□ 排泄してから時間の経っていない便
(「排泄物を持参する際のポイント」については次のページをご覧ください。「ウンチをチェックしよう」)
□ 便の中に混ざっていたもの(寄生虫や異物など)
□ 異物や毒物摂取の可能性のあるときは、そのパッケージなど
嘔吐の症状で受診するとき
このようなときにはなるべく早く受診しましょう!
・食欲がない、元気がない、下痢、発熱など、嘔吐以外の症状を伴っている
・他の症状はないが何日も嘔吐が続いている
・吐いたものに血液が混ざっている
・異物や毒物などを食べた可能性がある
分かっていると参考になる項目
「吐く」いう症状ですが、実際には「嘔吐(胃や小腸の上部に到達した食べ物が筋肉の動きにより押し上げられながら吐き出すこと)」の場合と、「吐出(胃に到達する前の食べ物が勢いよく吐き出されること)」の場合とがあります。どちらであるかによって治療法も対処法も異なってきますので、以下のような項目が参考になります。また、実際に吐いているときの動画を撮って持参することが役に立つこともあります。
□ 嘔吐の回数
□ 食事をしてから吐くまでの時間
(食事をした直後/2時間以内/数時間経過後/食事とは無関係 など)
□ 嘔吐がみられる時間帯
□ 吐いたものの色や形状
(泡/透明な液体/黄色い液体/消化された食べ物/未消化の食べ物 など)
□ 食べたものを全て吐いている可能性があるか
□ 水を飲んでも吐くか
□ 吐くときにお腹が波打つように動いているか
□ 吐いたものを再び食べようとするか
□ 下痢を伴っているか
□ 変わったものを食べた可能性があるか
(いつもと違うフードやオヤツ/異物や毒物摂取の可能性 など)
持参すると良いもの
□ 嘔吐物
□ 嘔吐物の中に混ざっていたもの(寄生虫や異物など)
□ 排泄してから時間の経っていない便
□ 吐いているときの動画(嘔吐と吐出の識別に役立つ)
□ 異物や毒物摂取の可能性のあるときは、そのパッケージなど
オシッコの異常で受診するとき
1. このようなときにはなるべく早く受診しましょう。
・食欲がない、元気がない、下痢、嘔吐、発熱などのオシッコ以外の症状を伴っている
・他の症状はないがオシッコの異常が何日も続いている
・オシッコに血が混ざっている/赤いオシッコをしている
・丸1日以上オシッコが出ていない可能性がある
2. 分かっていると参考になる項目
□ オシッコの回数
□ 1回の量
□ オシッコの色(透明、黄色、褐色、赤色、濁っている など)
□ 排尿姿勢に変わったところがないか
□ 排尿時に痛みがあるようにみえるか
□ 飲水量
□ (避妊していない女の子の場合)最後にあった発情の時期
3. 持参すると良いもの
□ 排泄してから時間の経っていない尿
「排泄物を持参する際のポイント」については次のページをご覧ください。
「オシッコをチェックしよう」
咳の症状で受診するとき
1. このようなときにはなるべく早く受診しましょう。
・食欲がない、元気がない、下痢、嘔吐、発熱などの咳以外の症状を伴っている
・他の症状はないが、咳が何日も続いている
・ゼロゼロした咳、呼吸するときにゼーゼーという音がする
・舌や顔の色が悪い
・呼吸するのがつらそう
2. 分かっていると参考になる項目
咳の症状は、人でいうところのいわゆる「風邪」、気管の病気、肺や気管支の病気、心臓の病気など、様々な原因に伴って見られます。一見、咳のように見えて、実はくしゃみや逆くしゃみのこともあります。診断のためには、次のような項目が参考になります。
□ 咳の回数
□ どんなときに咳をするか(運動時/興奮した時/安静にしている時 など)
□ 咳の種類(乾いた咳/湿った咳 など)
□ くしゃみや鼻水を伴っているか
□ 呼吸が苦しそうな様子があるか
□ 安静時の呼吸数
□ 咳をするとき口を開けているか、閉じているか(閉じている場合、逆くしゃみの可能性がある)
3. 持参すると良いもの
□ 咳をしている時の動画(咳、くしゃみ、逆くしゃみの識別に役立つ)
発作の症状で受診するとき
1. このようなときにはなるべく早く受診しましょう。
・食欲がない、元気がない、下痢、嘔吐、発熱、咳、呼吸困難などの
他の症状を伴っている
・一日に何度も発作が起こる
・発作後、なかなか元気が戻らない
・舌の色や顔色が悪い
2. 分かっていると参考になる項目
一般的に「発作を起こした」といわれる症状には、てんかん様発作(痙攣)、チックや部分的な痙攣、意識喪失などがあります。原因はてんかんやその他の脳の異常、中毒、心不全、貧血、代謝異常(腎不全、肝不全や低血糖)など、多岐にわたります。診断のためには次のような項目が参考になります。
□ 発作を起こしている時間・回数
□ どんなときに発作を起こしたか
(食事の後/興奮した後/運動後/安静時 など)
□ 発作を起こしている時の意識の有無
□ 発作を起こしている時の様子
□ 発作後、どのくらいで元気が戻ったか
□ 舌の色
□ 発作を起こした日の天候や気圧
□ 何か変わった出来事がなかったか
3. 持参すると良いもの
□ 発作を起こしている時の動画
□ 発作がたびたび見られる場合は、発作の状態を記した日記
(発作時の天候、気圧、出来事なども併せて記録しておくのが望ましい)
皮膚、被毛の異常で受診するとき
1. このようなときにはなるべく早く受診しましょう。
・食欲がない、元気がない、下痢、嘔吐、発熱などの皮膚以外の症状を伴っている
・痒みの程度がひどく、こすったり掻きむしったりしてしまう
・急に悪化したとき
・腫れていたり、膿が出ているとき
2. 分かっていると参考になる項目
□ 赤みや痒みの程度
□ 症状のみられる部位
□ 症状が悪化する頻度
□ 季節性の有無
□ 食事や環境の変化の有無
□ 使用しているシャンプーの種類・頻度
□ いつも食べているフードやオヤツの種類
跛行(はこう=肢をひきずること)の症状で受診するとき
1. このようなときにはなるべく早く受診しましょう
・食欲がない、元気がない、下痢、嘔吐、発熱などの他の症状を伴っている
・肢を全く床面に着けることができない
・肢がブラブラしている
・痛みや腫れの程度がひどい
・うずくまって動かない
2. 分かっていると参考になる項目
どうぶつの跛行(肢をひきずる)の症状が軽度だと、病院に来ると緊張などから症状を 隠してしまい、診断ができないということがよくあります。実際に跛行しているときの 様子をよく観察しておいたり、動画にとっておいたりすると参考になります。
□ 跛行しているのはどの肢か
□ 症状のある肢に体重をかけることができるか
□ どのようなときに跛行が見られるか
(動き始めるとき/通常の歩行時/激しい運動をしたとき など)
□ 痛みの程度
□ お腹が張っている様子がないか
(腹痛により跛行の症状が見られることがある)
3. 持参すると良いもの
□ 跛行をしている時の動画
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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