人間の赤ちゃんとワンちゃんとの暮らしについて(2)<生活について>

 

 

母親になり、お子さんを育て社会に送り出すということは、たいへんですが、喜びに溢れ、この上なく大切で素晴らしい経験ですね。

ワンちゃんと暮らすご家庭で、飼い主さんのお腹に新しい命が宿り、赤ちゃんが誕生することになったとき、飼い主さんは嬉しくて幸せな気持ちに包まれながらも、一方で、「ワンちゃんは赤ちゃんを大切にしてくれるかしら」、「やきもちを焼かないかしら」、「衛生的に問題が生じないだろうか」などと、今後の生活への不安を覚えることも多いと思います。

人生の中で、重要で素晴らしい、この二つの経験を並行して成功させるポイントに付いて考えてみましょう。

 

 

ワンちゃんとの普段の生活を見直してみる!

 

 

赤ちゃんをお迎えするまでに、生活全般を見直しておくことで、環境の変化に敏感でナイーブなワンちゃんが「急に変わった」と戸惑わないようにしましょう。

赤ちゃんをお迎えになってからは、ワンちゃんが赤ちゃんと過ごすスペースには、必ず飼い主さんがいらっしゃるようにしましょう。

1.ワンちゃんは「率いられ、守られる立場」であることを意識させる

「玄関の出入りは飼い主さんが先」、「ワンちゃんより先に人間のご家族に声をかける」、

「ソファーの真ん中の席に座るのは飼い主さん、ワンちゃんは端の席や床に敷いたクッションの上」など、空間・順序を通して、「飼い主さんはワンちゃんを率い、守る立場であること」を明確に伝えるようにしましょう。優先度の高い飼い主さんの大切な赤ちゃんは、ワンちゃんにとっても大切な存在であることが伝わると良いですね。

 

2.赤ちゃんのイメージとワンちゃんの好きなものとを結び付ける

ワンちゃんの赤ちゃんに対するイメージが良くなるように工夫をしてみましょう。

例えば、産院にお見舞いにいらっしゃったご家族に、赤ちゃんの匂いのするタオルなどを持ち帰ってもらい、ワンちゃんのお食事の器の辺りやお気に入りのクッションの下などに置いてみても良いでしょう。お母さんと赤ちゃんがお戻りになったとき、ワンちゃんが赤ちゃんに懐かしさや好ましさを感じるようになっていると良いですね。

 

2.お食事のしつけを見直す

美味しい物があるとすぐに飛びついてしまうようであれば、今後、小さなお子さんが食べ物を 手に持っていたり、こぼしてしまったりしたとき、一目散に駆け寄って平らげてしまうかもしれません。決まった場所で食事をする習慣を付け、食べ物を前にしても「オスワリ」、「マテ」などの飼い主さんの指示に従うことができるようにしておくことが望ましいでしょう。

飼い主さんの食事の時は、ケージの中などでゆっくりと待てるようにしておけると良いですね。ケージの後ろ部分をタオルケットで覆うなどして、ケージの中から外の様子が気にならない環境を作っておくと落ち着けるかもしれません。

また、ワンちゃんの唾液には、人への感染の可能性がある細菌もあります。口移しで食べ物を与えたり口をなめさせたりしないようにしましょう。

ワンちゃんが口をなめようとしたら、飼い主さんは何気なく立ち上がってその場を離れたり、ワンちゃんがなめることができないよう、体の位置を変えてはいかがでしょうか。           

 

3.トイレ環境を見直す

ワンちゃんが排泄をしようとトイレに行ったとき、トイレが汚れたままになっていると、被毛や足裏に汚れが付着してしまう可能性が高くなります。

普段から排泄後、すぐにトイレシートを取り替えるように習慣付けておきましょう。

また、お尻周りや足裏の被毛が長いと不衛生になりやすいので、お世話をしやすいように短くカットしておくことも一つの方法です。

赤ちゃんはハイハイができるようになると、どこにでも行って何でも口にしてしまいます。なるべくトイレのある場所へは赤ちゃんが出入りできないように工夫することも大切です。

 

4.寝場所のしつけ

飼い主さんの布団で一緒に寝るワンちゃんも多いのではないでしょうか。ワンちゃんが寝る場所には被毛やフケが落ちてしまいがちです。赤ちゃんが生まれて一年くらいは、お母さんは授乳のときなど赤ちゃんと添い寝をすることもありますので、寝室の衛生にも注意が必要です。

ワンちゃんにとっても、ご出産の前後は環境の変化が大きく戸惑うことが多いので妊娠が分かったあたりから、時間的に余裕をもってワンちゃんの寝る場所を考えてみてはいかがでしょうか。

まずは、安心してワンちゃんが過ごせるスペースを別に作ることから始めるのもよろしいでしょう。そこに大好きな飼い主さんの香りのする毛布やタオルケットなどを置いておき、「休むときはここが一番!」だと感じるようにできたら良いですね。

お気に入りのキャリーバッグやケージ、クレートなどをご使用いただくのも良い方法です。

一方で、「赤ちゃんが来たからケージに入れる」では、赤ちゃんへの良いイメージがそがれてしまうことも懸念されますし、ワンちゃんも強いストレスを感じてしまうかもしれません。

普段から、「ケージに入ると良いことがある」という印象を与え続けることで、ケージが気に入った安心できる場所になるようにしていただくことが大切でしょう。

寝具類などは、天気の良い時に干して、毛やホコリを取る習慣を付けると気持ちが良いですね。

 

 

ワンちゃんの健康状態をチェックしておく

 

 

飼い主さんにとって母親になるということは、ご自身を取り巻く環境がたいへん大きく変わることですが、ワンちゃんにとっても大きな生活環境の変化が待っています。

生活環境が変わってストレスが大きくなると病気を発症しやすいのは人もワンちゃんも同じです。産前・産後のお忙しい時期に、ワンちゃんまで体調を崩してしまう状況にならないように、時間的に余裕がある間に、かかりつけの先生にワンちゃんの健康チェックをしていただきましょう。今後の予防接種やフィラリアの予防スケジュールなども早めに確認して対応できる ように準備をしておくと安心ですね。

もちろん、何にも増して普段から栄養バランスの整った食事を与え、お散歩などの運動を心がけ、抵抗力のある身体作りをしておくことが重要です。

 

 

赤ちゃんの生活スペースを早めに準備する

 

 

「ベビーベッドを利用する」、「1階と2階で生活スペースを分ける」、「授乳用の椅子を用意する」、「パーテーションを利用する」など、それぞれのご家庭の間取りや生活のしやすさなどを考慮しながら、赤ちゃんの生活スペースを準備しておきましょう。

また、赤ちゃんが少し成長をしてきて行動範囲が広がるようになると、赤ちゃんのオモチャがワンちゃんのちょうど良い遊び道具になってしまうことも、同様に、赤ちゃんがワンちゃんのオモチャを口にすることも考えられます。赤ちゃんに与えるオモチャを選ぶ際には、丸洗いできる物や消毒しやすい物を選んでおくと衛生管理がしやすいかもしれません。また、ワンちゃんがオモチャで遊んだら飼い主さんが回収する習慣を付けておくようにしましょう。

 

 

散歩を楽しむために

 

 

「ワンちゃんのお散歩はお母さんの仕事」というご家族も多いと思いますが、赤ちゃんとの生活が始まり、「お母さんは散歩に行くことができない」という状況もあるでしょう。そのようなときには、他のご家族にも散歩を手伝ってもらえれば助かりますね。  

ご出産を機に散歩の習慣が突然変わってしまって、ワンちゃんが混乱してしまわないようにするためにも、なるべく時間的に余裕をもって、他の方との散歩にも慣れておくようにしましょう。散歩のルートなどはご家族で確認し合い、ワンちゃんが恐がる場所など、気を付けることを共有しておくと良いですね。

ご出産後は、お天気の良い日にベビーカーや抱っこで、赤ちゃんも一緒にワンちゃんの散歩が できるようになると、さらに楽しみも広がってくることでしょう。

ワンちゃんによっては、そばにベビーカーがあること自体を恐がることもあります。  

事前に「ベビーカーを軽く動かし、その後にご褒美を与える」、「ベビーカーの近くで大好きな  ボール遊びをする」など、ベビーカーに好印象を持つような慣らし方をしておくのも良いですね。

外では予測できないことが突然起こる可能性があり、どんなに普段はおとなしいワンちゃんでも思わぬ行動をしてしまうこともあります。ご家族やご友人にサポートをお願いするなど、安全を第一に考えて無理のない範囲でお散歩を楽しむようにしましょう。

 

 

お迎えした後、仲良く過ごすポイント

 

 

ワンちゃんは、新しくやってきた赤ちゃんに興味津々ではないでしょうか。

ワンちゃんが赤ちゃんの様子をのぞきにいったとき、「あら大変」とばかりに、「赤ちゃんがいるから向こうに行きなさい」ということになると、ワンちゃんは仲間はずれにされたと感じてしまうかもしれません。ワンちゃんが赤ちゃんのことを「大切で大好きな対象」だと感じて欲しいというご家族の願いとは裏腹に、「赤ちゃんが来てから嫌なことばかり」となると、赤ちゃんのことを嫌な存在に感じてしまったり、敵視してしまう状況が生まれることも懸念されます。

赤ちゃんのことが大切な存在だと伝えるためにも、「一緒に赤ちゃんを大切にしようね」、「よろしくね」と、「赤ちゃんもワンちゃんも一つの家族の輪の中に、一緒だね」という雰囲気を見せたほうが良いかもしれません。

 

 

素敵な未来図を思い描く

 

 

ご出産を控えた妊娠中には気分が憂鬱になったり、不安定になりがちですが、ワンちゃんがそばにいてくれるだけで、気持ちが落ち着いて癒されたことも多かったのではないでしょうか。

そしてこの先、赤ちゃんが健やかに成長する過程で、ワンちゃんの存在が、赤ちゃんに命の温もりや笑顔や友情を教えてくれる大切な存在になってくれるかもしれません。

大変な時期を乗り越えたその先には、どうぶつと過ごす豊かな時間をお子さんと共有する毎日が待っています。

今はたいへんですが、その先の大きな楽しみを思い描き、ご家族で力を併せて、「家族の一員にワンちゃんがいる生活」をエンジョイしていただければと思います。

 

 

 

人間の赤ちゃんとワンちゃんとの暮らしについて(1)<衛生面に関して>をみる

 

 

 

 

 

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