血液は、心臓や肺を始め、どうぶつの体中で絶え間なく働き続け、生命を維持します。
一般的に哺乳類では体重の13分の1ほどを血液が占めますが、血管を流れる血液の3分の1ほどを失ったら生命の危機が生じるといわれています。
では、この血液はどのような働きをしているのでしょうか?
血液の働き
1. 酸素を運んで二酸化炭素を回収する
どうぶつの体を動かすためには、摂取した食物をエネルギーに変える必要がありますが、細胞内ミトコンドリアにおけるエネルギー生産には酸素が大きな役割を担っています。
そして、体内で酸素の運搬に関わっているのが、赤血球内のたんぱく質であるヘモグロビンです。肺で取りこまれた酸素のうち一部は血液の水分中にとけ込んで運ばれますが、ほとんどの酸素はヘモグロビンに結合して運ばれます。
酸素は生命維持のためのたいへん重要な物質ですが、体内で酸素がエネルギーをつくり出すときに二酸化炭素ができてしまいます。二酸化炭素は体にとって害となりますので、今度は血液により二酸化炭素が肺に運ばれて呼吸により排出されます。
赤血球やヘモグロビンの不足により貧血を生じたり、呼吸器に問題があり、体に酸素の供給ができなくなると、体は低酸素状態になってしまい、全ての臓器に問題が生じてしまいます。
2. 栄養分を全身に運ぶ
食べ物は消化管の中で消化・吸収され、さまざまな栄養素が体内に取り込まれます。 例えば、タンパク質は膵液中の消化酵素によりアミノ酸へと分解されます。血液の中に入れるくらい小さく分解されて腸で吸収された後、血液に乗って栄養分は全身に運ばれます。
3. 病原菌を退治する
血液の中には、身体を守る兵隊のような働きをする白血球がたくさん存在します。
兵隊の中にも、最前線で病原菌を退治する役割、前線の兵隊に司令を出す役割、そして司令官を統括する役割などさまざまな役回りの兵隊がいます。
兵隊の数が足りなかったり指令がうまく届かなかったりすると、細菌やウィルスなどの病原菌との戦争に敗れてしまいます。
4.要らなくなった物を運ぶ
エネルギーとして利用されたあとの老廃物や代謝の結果できた有害な物質などは 血液にのって腎臓や肝臓などへ運ばれます。
腎臓では再利用できる栄養素や水分を再吸収、老廃物を尿にして身体の外へ出してくれる大切な器官ですが、それ以外にも、ビタミンDや骨髄を刺激して赤血球の合成にも関わるホルモンの合成や分泌にも関わっています。腎臓が悪くなると、身体の中に老廃物が溜まったままになってしまい、「尿毒症」という症状が出てしまうだけではなく、貧血などの症状が出てくることもあります。
また、肝臓では体にとって有害なものが無害化されます。この後、胆汁中に排泄されたり尿として排泄されたりします。
5. 体温を調節する
身体の深部の筋肉や肝臓などでは活動するために必要な熱が作られます。血液は器官を流れるときに作られた熱を吸収し、皮膚を流れるときに熱を放出することで、体温を一定に保ってくれています。
寒い季節では皮膚の血管を細くし、毛穴を閉じることでなるべく体温が身体から逃げないようにします。反対に暑い季節では血管を太くして毛穴を開き、体温が外に出やすいよう調節しています。
細菌やウィルスに感染して「熱がある・・・」というときは、体の中ではこれらの外からの侵入者との闘いでたくさんの熱が作られているのです。
6.ホルモンを運ぶ
下垂体や甲状腺、副腎などの内分泌腺で産出されたホルモンは血液中へ放出されて、特定の器官の機能を調節します。ところが、年齢を重ねることで、ホルモンが過剰に作られたり作られなくなってしまったりすることがあります。身体の機能を調節してくれる器官に異常が生じてしまうと身体の至る所で問題が生じてしまいます
血液を分解してみよう!
血液は液体成分である血漿と血球成分とに分けられます。
また、血球部分は白血球、赤血球、血小板に分けられます。
血漿(けっしょう)の働きとは?
血漿は黄色みを帯びた液体で、血液を遠心分離にかけると、血球成分から分離される液体成分です。水以外にたんぱく質、脂質、血糖、無機塩類、残余窒素などを含んでいます。
液体である血漿は、血管内からしみ出して血管外に出ることができます。血球である白血球、赤血球、血小板の運搬や二酸化炭素や代謝物質、栄養素、ホルモンや抗体の運搬、血液の凝固など多くの働きに関わっています。
白血球の働きとは?
白血球は、おもに外から侵入した細菌などの外敵から身を守る防御や免疫に関わる働きを担っています。体内に炎症があるときには白血球の数が増えます。白血球の種類はリンパ球、単球、好中球、好酸球、好塩基球に分類されます。
なお、傷口にたまる膿は外敵と戦った後に残された白血球の死骸です。
赤血球の働きとは?
赤血球は真ん中をへこませた円盤のような形で、ヘモグロビンという成分を含んでいます。ヘモグロビンは酸素分子と結合する性質を持ち、体の隅々まで酸素を運搬します。なお、酸素と結合するヘムという物質とグロビンというたんぱく質が結合したのがヘモグロビンですが、ヘムの合成には鉄が必要です。
ほかにも酸と塩基(アルカリ)の均衡を取る、炭酸ガスの運搬というような働きを担っています。
血小板の働きとは?
血小板は血液凝固に関与しています。外傷などで破れた血管ではまず、血小板が粘着します。さらにその部分に血小板が集まり止血に必要な物質が血小板から放出されます。
なお、ビタミンKは血液凝固を促進する作用を有します。
血液はどこで生まれ、どこでなくなるの?
血液の産生に大きな関わりを持つのは、骨の内部を満たす軟組織である骨髄です。若齢期にはすべての骨髄で活発に血液が造られますが、加齢とともに造血場所は減少してきます。骨によっては血液の産生が行われなくなる骨髄がある一方、胸骨や骨盤、肋骨、頭蓋骨などの扁平骨では終生、血液が造られます。
また、血液中の老廃物や異物をろ過したり、血液を貯蔵したり、あるいは老化したり損傷した赤血球、白血球、血小板を処分するのは、脾臓(ひぞう)です。
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すっごいバカな小学生にもわかりやすいです!!
ありがとございますm(__)m