心膜液(水)貯留 <犬>

概要

Overview

心臓を保護している膜と心臓との空間である心膜腔内には、心膜液(水)と呼ばれる液体が貯留しています。この心膜液が何らかの原因で多量にたまる状態を心膜液貯留といいます。心膜腔内圧が非常に上昇して呼吸困難やショックなどを起こすことがあります。また、心膜液が多量に貯留し、心膜腔内圧が心臓の拡張する圧力を上回ってしまうと、心タンポナーデと呼ばれる状態に陥ります。心タンポナーデは、心膜液の貯留により心臓の拍動が障害された状況で、右心不全の原因となります。

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原因

心膜液は通常、リンパ液を主体とした淡黄色の透明な液体です。貯留した心膜液の性状により漏出性(うっ血性心不全、低アルブミン血症などが原因)、滲出性(心膜炎などが原因)あるいは血液性(腫瘍性、特発性など)に分けられます。心タンポナーデの原因としては血管肉腫などの腫瘍性のものが多いといわれています。また、特発性心膜水貯留(※)はゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパードなどが好発犬種といわれています。
※特発性とは原因が不明なものをいいます。

症状

症状は心膜液貯留の量や速度、また心膜の伸展性によって異なりますが、元気消失、運動不耐性、食欲不振、咳などがみられます。また、頻度は多くはありませんが、呼吸困難、頻呼吸、衰弱、失神や体重減少が観察される場合もあり、貯留が急速に起こったときにはショック状態を起こすこともあります。

治療

心膜液の貯留の程度や速度を考慮した上で、心膜穿刺(しんまくせんし:針などを刺して心膜液を抜くこと)によって定期的に心膜液を除去する必要があります。急速に貯留する場合や数か月から数年間、再発がない場合もあるので、症状に応じて適宜行う必要があります。また抗菌剤や消炎剤などの内科療法を併用することもあります。長期的な心膜水貯留の緩和および根治的治療としては、外科的に心膜切除術が必要になります。原因疾患がある場合にはその治療も行います。

予防

腫瘍によるもの、あるいは特発性に心膜水が貯留することも多いため、具体的な予防策はありませんが、早期に適切な処置を行うことが肝要です。早期発見・早期治療のためには、定期的に健康診断を受けることも大切です。また運動をすると疲れやすい、咳がでる、呼吸の異常など、気になる症状がみられた場合は、早めに動物病院にご相談ください。

病気のデータ

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