概要
Overview愛する犬の眼が見えていない、見えなくなってしまうと知った時の飼い主さんのショックは量り知れません。
光を失った世界、視覚情報のない世界がどのようなものなのか、目が見える私たちには推測することしかできませんが、わが身に置き換えて考えると、それはつらく悲しいことだろうと想像してしまいます。でも、眼が見えなくなったからといって、そこでわが子の一生が終わってしまうわけではありません。
犬は人よりも嗅覚、聴覚が発達しており、視覚に依存する部分はあまり大きくないと考えられています。眼が見えなくても、慣れてくればちゃんと穏やかに日常生活が送れるようになります。ただ、そのためには飼い主さんの愛情とサポートがどうしても必要になります。飼い主さんのサポート次第で、眼が見えなくても、眼が見える犬以上に、飼い主さんとの幸せで楽しい生活を送っている犬はたくさんいます。
眼の見えない犬がこれから楽しく生活していくためにどうしたらよいかを、前向きに考えてあげましょう。
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
視覚障害が起こる機序として、大きく分けて、次の4つが考えられます。
・眼の中で本来透明な部分が濁ってしまうことによって起こる視覚障害
(角膜の混濁を引き起こす角膜炎、角膜潰瘍、水晶体の混濁を引き起こす白内障、硝子体出血など)
・網膜の異常によって起こる視覚障害
(進行性網膜萎縮症、網膜剥離など)
・視神経などの視覚情報伝達系の異常によって起こる視覚障害
(視神経の形成不全、脳炎や脳脊髄炎、腫瘍など)
・画像を最終的に処理する大脳皮質の異常によって起こる視覚障害
(脳炎、水頭症、代謝性、中毒性疾患など)
予防
1.犬が普段生活をするスペースに危険なところがないかをチェックしましょう。
・犬の生活導線を考えて、ぶつかりやすい位置にあるものは、安全なところに移動しましょう。
・家具の角の部分にコーナークッションをとりつける等して、万が一ぶつかっても怪我をしないようにしましょう。
・階段にはベビーゲートを取り付ける等して、落下を防ぎましょう。
・ストーブ、コンロなど危険なものには近づけないようにしましょう。
・お留守番中や飼い主さんの見ていられないときは、サークルやケージを利用しましょう。
浴室用のバスマットをつなげたサークルは角がなくぶつかっても安心なのでおすすめです。
・外飼いの犬は、リードや大型の屋外ケージ等を利用して、庭の危険な場所に行かれないようにしてあげて下さい。
2.犬の混乱を防ぐため、生活スペース内の家具の配置や、食餌や水飲みの場所、トイレなどの位置はなるべく変えないようにしましょう。
3.急に近づいたり触ったりするとびっくりしてしまいます。必ず声をかけてからにしましょう。
4.お散歩は必ずリードをつけて危険のないルートを選びましょう。
急にリードを引くとびっくりしてしまいますし、障害物や段差などに出くわすと驚いたりケガをしたりする可能性もあります。犬に「注意してね」ということを伝えるときには、必ず声をかけてからにしましょう。
できれば、「止まれ」「ストップ」などのコマンドを覚えさせるといいですね。飼い主さんがたくさん声をかけてあげることで、「飼い主さんが一緒なら眼が見えなくても安心してお散歩ができること」が犬に伝わるでしょう。
5.恐怖や不安をできるだけ与えないように注意をしましょう。
急に視力を失った犬は、そのショックや不安から精神状態が不安定になってしまうこともあります。神経が過敏な状態になったり、目が見えない恐怖心から、吠えたり咬みついたりすることもあります。「知らない人やお子さんが急に近づいてくること」など、犬に恐怖や不安をできるだけ与えないように注意をしましょう。そのような不安定な犬の様子をみるのは、飼い主さんにとってもたいへん辛いことですが、犬の心に安心を与えていくのは、飼い主さんが今まで通りでいることです。どんなときも、飼い主さんはずっと犬の心の灯なのです。
6.「眼で見ること」以外の楽しいことをたくさん体験させてあげましょう。
・体調等に問題がなければ、積極的に外に連れ出してあげましょう。心地よい風や陽だまりのあたたかさ、木陰の涼しさを感じること、鳥のさえずりや虫の声、海の波の音や川のせせらぎの音、風で木々が揺れる音、草や花のにおい・・・、眼が見えなくても感じられる「気持ちのいいこと」はたくさんあります。飼い主さんが感じて「気持ちのいいこと」は、犬にだって気持ちが良いはずです!
・お家の中でも、眼が見えなくても楽しめることはたくさんあります。
楽しい音楽やリラックスできる音楽を聞かせてあげるのもいいでしょう。アロマテラピーもいいですね。犬のお気に入りの香りを見つけてあげて、芳香浴やマッサージをしてあげるのもいいかもしれません。
・何より飼い主さんの温かい声、笑い声が、犬は一番好きなはずです。いっぱい話しかけてあげましょう。歌をうたってあげるのもいいですね。飼い主さんがリラックスしていること、楽しそうにしていることが、犬にとって一番安心できることなのです。
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視覚や嗅覚を失ってしまったわんちゃんには、マッサージや抱っこなどご家族様とのスキンシップのお時間を積極的にとっていただくこともお勧めです。また、抱っこをしてお外へお散歩に行くことも、お外の様々な音が刺激になったり、お家とは空気も変わってわんちゃんの発散にもなるかと思います。
他のおもちゃとしては、おやつやフードを詰められるコングなども、視力によらず遊ぶことができるかもしれません。また、遊びだけでなく、マッサージなどご家族様とのスキンシップのお時間を積極的にとっていただくこともおすすめです。どのような遊びに興味をもってくれるかはワンちゃんによっても異なりますが、いろいろなもののにおいや触感を楽しんだりできるものを、少しずつ試してみてはいかがでしょう。
先日両目が殆ど見えていないと診断されました。目の保護のためエリザベスカーラーを着用。
失明してから、円を描くように部屋中を歩き回っては、壁にぶつかって、また歩くを繰り返しています。そのうちベッドに行きつき、眠るといった行動があるのですが、
場所を覚えようとしている行動なのか、認知症など脳の病気を併発しているのか心配です。食欲は変わらずあります。