犬の多頭飼育

 

飼い主さんの中には犬と一緒に暮らす喜びのなかで、もう一頭家族を増やしたいと思う方も多いのではないでしょうか?ところが実際に迎えてみると、先住犬の心の中では、自分の縄張りの中を荒らされたような思いになったり、飼い主さんの愛情に不安を感じたりしているのでしょうか、犬同士が上手くいかない場合も多いようです。
多頭飼育をする際にどんなことに気をつける必要があるのでしょうか。

 

 

多頭飼育を始めるにあたって

 

 

1. 犬同士の相性を事前に確認できたらいいですね。
可能であれば、一度、迎える前に犬同士が顔を合わせられるような機会を設けてみましょう。また、対面場所については、お互いの犬が縄張り意識を強く感じていない場所が望ましいでしょう。
(事前に相手の犬のにおいのついたタオルなどを使って、お互いのにおいに慣らしておくと馴染みやすいかもしれません)

2. 先住犬が、新しい犬を受け入れやすいような環境に整えてあげましょう。

(1)いきなり新しく迎える犬を先住犬のテリトリーであるお部屋に放してしまうと、先住犬は困惑してしまいます。まずは別々のケージやサークルなどに入っている状態での対面からスタートしたほうが宜しいでしょう。 また、対面の時間は、最初は 10 分、次は 20 分、30 分・・・と短い時間から少しずつ延ばしていきながら、同じ空間にいることに慣らしていきましょう。
その際には、必ず飼い主様がそばで見守ってあげるようにしましょう。      
※ご対面時の注意点!
新しい犬を迎えたら、感染症予防のため 1 週間程度は接触を控え、別々のケージやサークルで生活させるようにしましょう。またワクチンなどの予防措置についても動物病院さんに相談しつつ、健康管理に留意することが大切です

(2)犬にとって、「群れのリーダーである飼い主様の愛情こそ全て」といっても良いくらい、飼い主様の愛情は重要なものといわれています。今までご家族の注目をすべて集めていたのに、ある日突然、知らない子犬がやってきて飼い主様の注目を集めているのを見て、先住犬が寂しい思いをすることが考えられます。 飼い主様は先住犬と一対一で過ごす時間を作り、飼い主様の愛情は今までと変わらないことを伝えてあげましょう。 また、実際に新しい犬を迎えた後は、先住犬の前で新しい犬のお世話をしたり愛情を注いだりしている姿をなるべく見せないほうがよいでしょう。

(3) 飼い主さんは、犬達に対してきちんとリーダーシップをとることが大変重要です。犬達も自分達が安心して身を委ねることのできるリーダがいることで精神的に安定します。この精神的な安心感は相手の犬との関係に影響しますので大変重要です。

・日常生活の中でも、飼い主さんは犬達を守るリーダーとして 一貫性のある落ち着いた対応をしましょう。
・呼びかけたり食事をあげる時など、常に先住犬を優先することで、先住犬は飼い主さんへの信頼感を深めていくことでしょう。
・無理して相手の犬と仲良くさせるのではなく、「あの子がいると、楽しいことがいっぱいあるなぁ」と先住犬が感じることができるように、楽しい雰囲気を演出してあげましょう。

 

 

犬同士が上手くいかないとき

 

 

1. 犬は愛情に貪欲などうぶつだといわれています。
今まで飼い主様の注目をすべて集めていたのに、ある日突然、知らない犬がやってきて飼い主様の注目を集めているのですから、「最初は上手くいかなくて当たり前」と考えたほうがよいくらいかもしれません。
先住犬の寂しい思いが、自分も家族の注目を集めたいと思いわざわざ飼い主様に怒られるような行為をさせたり、今まで出来ていたことを出来なくさせてしまったり、「悪いのは新しく加わった犬だ」と言わんばかりに喧嘩をしかけさせたりすることにつながることもあるようです。
新しく犬を迎えたことで、愛情が半分になるのではなく、2 倍になるように心がけましょう。
また、先住犬と飼い主さんが一対一で過ごす時間をお作り頂き、飼い主さんの愛情は今までと変わらないことをしっかりと伝えてあげましょう。

2. 犬は生後 2 か月から 3 か月頃の社会化期に、犬同士、お互いの意思や感情を表現し理解させるためのコミュニケーション能力を身に付けます。
しかしながら、この時期に他の犬との接触が十分でなかった犬の中には、犬同士での付き合い方がわからず、一緒に暮らすことが大きなストレスになってしまうことがあるようです。
また、先住犬と新しくお迎えの犬との相性そのものが悪いこともあるようです。

どうしても先住犬が新しくお迎えの犬を受け入れることが困難な場合は、別々の部屋で生活させてあげるなどの工夫をして頂き、お互いの犬がなるべくストレスを受けなくても良い環境を整えてあげましょう。また同じ部屋にケージを置いている場合も、仕切り板やカーテンなどを使って、常時相手の犬が視界に入らない工夫をするとよいでしょう。

3. 飼い主さんが犬たちに対してきちんとリーダーシップを取れていないことから、犬たちが誰に従えばいいのか分からず、混乱してしまっているのかもしれません。どんな時も落ち着き群れを統率するリーダーとして飼い主さんが振舞うことがまず大切でしょう。
犬同士が騒いでしまっているときも、一緒になって興奮するのではなく、飼い主さんがまず落ち着くことが重要です。

4. 新しい犬の登場により、縄張りが侵されるのではないかという不安感を感じてしまっているのかもしれません。どの子にもある縄張り意識ですが弱めてあげることもある程度は可能だといわれています。
 
(1) 公園などはテリトリー意識という犬の習性から開放された所だといえるでしょう。テリトリー意識の少ない公園などで犬たちを遊ばせてあげることで、お互いに親しみを感じるように工夫してみてもよいでしょう。
(2) 犬たちのテリトリー意識や上位に立とうという意識を軽減させ、ライバル意識を持たせないようにするため、去勢手術が有効な場合もあるようですが、効果には個体差があります。なお、去勢手術につきましてはかかりつけの先生と十分にご相談ください。

5. 犬には「家族を群れと考える」という特性があり、犬同士の順位が不安定な場合、改めて順位をはっきりさせようとしてケンカをすることあるようです。先住犬も群れの中に新しい仲間が増え、群れにおける自分の位置に不安定さを感じて喧嘩をしているのかもしれません。ケンカを通してお互いの順位が決定することで、犬同士の関係が安定することがあるようです。飼い主さんとすれば心配ではありますが、リーダーとして犬たちを落ち着いて見守る姿勢も重要でしょう。一貫性のあるリーダーである飼い主さんが群れのリーダーとして正しく犬同士を扱おうとする姿勢が、犬たちの飼い主さんへの信頼感を深めることに 繋がるでしょう。

6. 何事にも好奇心旺盛で元気な新しくお迎えの犬が、落ち着いて時間を過ごしたいのに「遊ぼう」と絶えず働きかけることに先住犬は戸惑ってしまっているかもしれません。先住犬が新しくお迎えの犬に邪魔をされずくつろげる場所を作ってあげましょう。

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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