ヒトよりも速いスピードで歳をとるワンちゃんですが、身体の不調を言葉で飼い主さんに訴えることはできません。また、野生を生き抜いてきた種として、痛みや不快感を我慢して周りに悟られないようにするという側面もあるかもしれません。頼りになるのは、「いつもと違う」というワンちゃんが発するサインを飼い主さんが見逃さないようにすることです。ワンちゃんが健康かつ安全に日々を過ごせるよう心を配ってあげましょう。
いつもと違うところを見逃さないためにも、まずは健康なときの情報をしっかりとキャッチしておくことが、まずは必要ですね。
大切なポイントは?
1.日頃から豊かなスキンシップを心がける
飼い主さんのゆったりと優しい愛撫は、ワンちゃんにとって何より嬉しい心の栄養となるのですが、ワンちゃんの身体の状態を調べるためにもスキンシップは重要です。ワンちゃんの身体を撫でているときに、いつもは痛がらない部位なのに、ワンちゃんがいつもと違う反応を見せたときには、獣医さんに相談してみましょう。
2.ワンちゃんが過ごす環境の湿度や温度などは、適切に管理されていますか?
ケージの中に抜けた毛が塊になってそのままになってはいませんか?
いつも過ごす場所に西日が当たるときに逃げ場所はありますか?
なるべく快適で清潔な環境を整えることは、ヒトの健康管理にとっても大切なことなので、留意してあげましょう。
3.適切な栄養と食事量を与える
もともと肉食であったワンちゃんは人間との長い歴史の中で雑食化しているものの、ヒトの食性とは異なっている部分もあります。また、ヒトであれば栄養になる食物が、ワンちゃんにとっては毒になってしまう場合もあるので、ヒトの食べ物を与えることには注意が必要です。
なお、必要な栄養素であっても過剰に摂取することが病気の要因となることもありますし、必要以上のカロリー摂取による肥満はワンちゃんの内臓だけではなく、足腰の関節にも負担をかけてしまいます。適切な食事の質と量の管理をしてあげてください。また、いつでも新鮮なお水を飲めるように管理をしてあげましょう。
4.ワンちゃんの身体の様子に変わりはありませんか?
目の輝きはいつもと変わりありませんか?
目やにが異常に出ているようなことはありませんか?
口や鼻や耳や肛門周りの様子、排泄物の様子はいかがですか?
食欲はありますか?
他には皮膚の状態や被毛の状態なども重要な健康のバロメーターになります。
5.ワンちゃんの行動やしぐさにいつもと違う様子はありませんか?
頻繁に耳をパタパタふるのは、耳に違和感を感じているからです。
後足を浮かせるようにして歩く仕草は膝や腰に何か問題があるのかもしれません。
このほかにも、ヨダレの量が異常に多い、頻繁にアクビをする、身体の特定の部分をしきりに噛んだりなめたりする、鳴き方がいつもと違う、なども大切なチェックポイントです。
6.適切な予防措置とケア
混合ワクチンなどの予防接種、フィラリアやノミ・ダニの予防薬は、どれもかかってしまってからの治療が大変な病気などからワンちゃんや飼い主さんを守ってくれるものです。またブラッシングや耳・歯・爪のケアによって、歯周病や皮膚病、外耳炎、爪がひっかかかってしまうことで起きるケガなどからワンちゃんを守ってくれます。
歯みがきやブラッシングを嫌がる子は多いのです、ワンちゃんが好きなことと結びつけながら、小さいときからお口の周りを触られたり、手ぐしで身体を触れることに慣らすことから始めるとよいでしょう。大きくなってからでも、好きなこととケアを結びつけながら、少しずつ慣らすことが大切です。ただし、噛んだり唸ったりすればやめてもらえるとワンちゃんが思ってしまわないように、噛んでも唸っても素知らぬ顔で続けられるように軍手をつけるなど工夫をしても良いでしょう。
通院時の注意点
1. 獣医さんに、「いつもと違うところはどこなのか」ということをきちんと伝えるために、メモに
「いつもと違うところ」「いつ頃からか」「ウンチやオシッコの回数や量」などを書いて持参すると良いでしょう。
2. ウンチやオシッコに気になる点があるときは、直前のものを持参するとよいでしょう。
行動などに気になる点があるときは、携帯電話の動画などに撮って獣医さんに見ていただくのも有効です。
3. リードや首輪をつけるのを忘れないようにしましょう。
4. 飼い主さんが緊張するとワンちゃんも余計に緊張してしまいます。飼い主さんもできるだけリラックスをしながら、頑張っているワンちゃんをうんとほめてあげてくださいね。