猫の蛋白質代謝について
蛋白質は筋肉や皮膚や被毛の素となったり、免疫機能を助けたりするなど、さまざまな働きをします。
蛋白質は、アミノ酸から構成されていますが、そのアミノ酸の中でも「どうぶつの体内で作ることができないため、食べ物から必ず摂らなければいけないもの」を、必須アミノ酸といいます。
犬にとっての必須アミノ酸は 10 種類であるのに比べて、猫にはタウリンを含めた 11 種類があります。
タウリンは犬の体の中では合成できるのに猫の体では他のアミノ酸から合成する能力が低いため必須アミノ酸になっています。このタウリンは網膜、心臓、神経、生殖、免疫調節などの重要な役割を担っていますので、欠乏すると中心性網膜変性や拡張型心筋症が見られることもあります。
また、タウリン不足の母猫から生まれた子猫は小さく虚弱になりやすい傾向があります。タウリンはほとんどの動物性蛋白質に含まれますが、植物性蛋白質には含まれません。
猫の脂肪代謝
脂肪は炭水化物や蛋白質の2倍の熱量を生産することができるため重要なエネルギー源です。
また、エネルギー源としてだけではなくビタミンAなどの脂溶性ビタミンの吸収を高めたり、嗜好性を高めたりするなどの働きも持ちます。
脂肪は消化されると脂肪酸とグリセリンに分解されますが、その中でも体内で合成することができない脂肪酸を必須脂肪酸と呼びます。
猫はリノール酸からアラキドン酸が合成できないため、アラキドン酸も必須脂肪酸に加えられています。なお、アラキドン酸は動物の組織、内臓、神経組織に含まれています。
猫のビタミン代謝
ビタミンは水への溶けやすさで脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。
犬は植物中のカロチンを体内でビタミンAに変換できますが、猫の場合は変換ができません。
また、ビタミンB1分解酵素であるチアミナーゼを含む物を食べたときにチアミナーゼ欠乏症が起こることがあるのですが、魚介類にチアミナーゼを含まれている場合が多く、特に生の魚介類での中毒に注意が必要です。
水の重要性
水分は猫の体の 60 %〜 70 %を占めますが、猫の場合は乾燥した地域に適した特性を持ち摂取した水分を温存する能力が高いため、十分な水分を摂取できないことがあります。このため、お水をいつでも飲める環境を作ってあげましょう。
水分を節約するために猫はオシッコを濃縮しますが、その事から尿石症などの下部尿路疾患になるリスクがどうしても大きくなります。
特にドライフードをあげている場合は注意をしてあげましょう。猫は飲水に関して癖のある場合も多く、猫によっては少しずつ流れる水や風呂場の水などを好む場合もあります。このような癖を把握することも、水分摂取を促すために必要かもしれません。
このように、猫の栄養摂取には独特な面もあり、栄養素同士のバランスも重要です。
また、猫の成長速度に相応しいエネルギーや栄養素の摂取もこころがけてあげましょう。
犬のライフステージにおける必要量の違いのみならず、避妊・去勢前後の必要エネルギー量の相違(避妊・去勢手術後は手術前よりも代謝エネルギー量が減るため太りやすくなる傾向にあります)なども考慮して適切な食事を摂取させてください。
総合栄養食って何?
ペットフード公正取引協議会が定めた「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の中で、ペットフードはその目的 により(1)総合栄養食 (2)間食 (3)その他の目的食の3つに分類されています。
その中の総合栄養食とは猫に毎日の主食として与えることを目的に作られたフードです。
総合栄養食には猫が必要とする栄養素がすべて含まれ、総合栄養食と新鮮な水を一緒に与えるだけで健康を維持することができるようにバランスよく栄養調整されています。
また、日本のペットフード公正取引協議会の規約上では総合栄養食の栄養基準としてAAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を採用しています。AAFCOはペットフードの栄養基準、原材料、ラベル表示などに関するガイドラインを作っている団体です。
どうしてフードはステージ別に分かれているの?
猫は一年間でほぼ成猫の体つきにまで成長します。
つまり、最初の一年間に必要とするエネルギーや必要な栄養素は、成猫になってからの要求量とは比較にならないくらい大きいのです。
また、年齢を重ねれば代謝が変化してきますので、若いときと同じカロリーの食事を摂ることが肥満に繋がってしまうことが懸念されます。年齢相応の代謝と食事量を確保することは、猫の肥満などを予防し健康な生活を維持するため大変重要なことなのです。
キャットフードは妊娠期/授乳期用、幼猫用、成猫用、高齢猫用などに分かれています。
それぞれパッケージに体重や月齢などによって目安となる給餌量の記載がありますので、猫に与えるときには必ず確認してからにしましょう。(詳細につきましては、各フードメーカーへお問い合わせください。)
うちの子にはどのフードがいいの?
「総合栄養食」と記載のあるキャットフードは、どれを選べばいいのか迷ってしまうほどに様々な種類があります。
キャットフードの袋に印刷してある表示を参考にして選びましょう。また、フードは、個々の猫との相性もありますので、ウンチの状態、下痢や嘔吐、毛艶の悪化、皮膚病など猫の体調に異常がないかの注意をしてあげながら与えてあげてくださいね。
また様々な疾病の子に適した療法食も多く出ているようですが、療法食については必ずかかりつけの先生に相談しましょう。
猫の食事(3) <フード選びの知識>へ進む
猫の食事(1) <栄養と代謝について>へ戻る
※コメント欄は、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。予めご了承ください。
お近くの動物病院をお探しの方はこちらアニコム損保動物病院検索サイト