犬のライフサイクル

 

犬は生後約 1 年(大型犬の場合は約 1 年半)でヒトの成人年齢に達するといわれています。その後は 1 年ごとにヒトの 4 歳分くらいの年齢を重ねていきます。
ヒトの加齢スピードとは比べ物にならない速さで歳を重ねていく、かけがえのないわが子ですが、「今、この時」を大切に寄り添い、犬の命を愛しんで見守っていきましょう。

 

 

乳児期(誕生から離乳まで)

 

 

誕生後の子犬の生存は完全に母犬などの周囲に依存しています。排泄は母犬がなめることで補助をします。目はまだ閉じており、聴覚も未発達ですが、嗅覚を頼りにお乳の場所を探り母乳を飲みます。生後 72 時間以内に飲む母乳を初乳といいますが、新しく命を授かった犬に初乳を飲ませることは、母犬からの免疫を移行させるためにも大変重要です。また、体温も自分で保つことができないので母犬や兄弟犬の体温が頼りです。

この時期の家族犬との触れ合いの中で子犬が学習することは大きく、母犬たちと触れ合ったり毛づくろいされたりすることは、成長後のストレス耐性に大きな影響があるといわれています。

生後約 4 週目に乳歯が生え始めて 9 週目頃には 28 本すべてが生えそろいます。感覚器や運動器が次第に発達してくると自分で排泄ができるようになり、母犬依存から独り立ちのときを迎えます。

 

 

子ども期(離乳期から性成熟まで)

 

 

離乳期から社会化期のころの犬は、犬同士や周囲の環境に対する社会化が促進される時期だといわれています。この時期にできるだけ多くの人に可愛がってもらい、良い経験をさせてあげましょう。この時期に犬をご家庭に迎えられることが多いのですが、環境の変化によるストレスが原因で病気を引き起こすこともあります。子犬が充分な睡眠時間を取れるように、構いすぎずにゆっくりとさせてあげることが必要です。また犬は人と異なり体に分布する汗腺が乏しいため、寒暖の変化には弱い(特に夏の暑さに弱い)どうぶつです。子犬の過ごす環境には気をつけてあげましょう。   
        
生後 3 ヶ月ころから 8 ヶ月ごろまでにかけて、永久歯 42 本が生え揃います。この時期は歯のむず痒さもあり、どの子も飼い主さんの手や足を噛みます。噛むという行為は周囲の環境への探索という意味もありますが、「ヒトと暮らす中で、噛むことはいけないことなんだよ」と犬にもわかるように教えることが大切です。何にでも興味を示す落ち着きのない時期ですが、飼い主さんは犬のペースに乗ってしまわないで、「どっしりと落ち着いて構えること」「ヒトの温かさや素晴らしさをしっかりと犬に伝えること」がこの時期大変重要です。いたずらが尽きない時期でもあるので、犬が過ごす場所には危険なものを決して置かないようにしたり、サークルで仕切っておくなどして、叱らなくてもよい環境作りをしてあげましょう。

歯みがきやブラッシングなどのケアは、疾病の予防や早期発見という点でも大変重要ですが、大きくなってから心配をするよりも、小さいときから上手にほめながら習慣化することが大切です。「飼い主さんに触られるといいことがあるな」「触られて当たり前」という意識を持ってもらうためにも少しずつ触られることに慣らしていきましょう。

犬は生後 4 〜 6 ヶ月の頃に恐怖への感受性が高まる時期を迎えます。また 7 〜 8 ヶ月の頃を迎えると今までの経験をもとに自分で行動を構築しようとする「自我の芽生えの時期」を迎えます。ヒトの子どもがさまざまな時期を経て成長していくのと同じように、子犬もいろいろな時期を迎えるので、今までしなかったことを急にするようになったり、今までと違う表情を見せたりすることもありますが、どんなときも飼い主さんはうろたえず、一貫性を持った対応をし続けることが大切です。飼い主さんの立場で「いろいろな方法を試してみたけど、上手くいかない」と思うことも、犬の立場から見れば、「そのときどきで対応が違う、一貫性のない飼い主だなぁ。この人に自分の命を委ねて大丈夫だろうか?」と感じているかもしれません。どんなときもデンと構えて犬を受け止めることで、信頼を得るようにしましょう。

犬は生後 6 ヶ月が過ぎて体の成長が一段落すると、性的に成熟する性成熟を迎えます。性成熟の時期には個体差がありますが、早い場合には生後 6 ヶ月頃、遅い場合には 1 才を過ぎた頃に迎えます。通常大型犬よりも小型犬の方が早熟の傾向にあります。

性成熟を迎えると、ホルモンの影響で行動に影響があらわれてきます。男性ホルモンは攻撃性や縄張り意識に影響を与えますし、発情期を迎えた女の子も女の子らしい表情を見せます。   女の子の発情期に発する匂いに男の子は強く反応しますので、飼い主さんはお散歩のときなど充分に注意をしてあげましょう。

 

 

成犬期(性成熟から 8 〜 9 歳まで)

 

 

発達を遂げた犬は、ある程度安定した時期を迎えます。犬の種類や個体差で適した運動量は変わってきますが、お散歩や遊びを通して充分にエネルギーを発散させてあげることが健康維持や精神的な安定にとって重要になります。飼い主さんのご健康や生活が何よりも大切ですが、できる範囲で犬を遊びに誘ったり、お散歩に行ったりして楽しい経験をさせてあげましょう。最初はぎこちなかった飼い主さんと犬との関係であっても、あきらめず誠実に信頼関係を築きあげることで、日々きずなは熟成され、犬と暮らす喜びがジワジワと胸に溢れてくるようになります。

 

 

高齢期

 

 

犬種や個体による差はありますが 7 〜 8 歳を過ぎると老化が始まってきます。加齢に伴って行動が少しずつ変化してきますが、いたわりの気持ちを持って寄り添っていきましょう。生理的な変化の中には、感覚器系や神経系、消化器系などのさまざまな身体の機能が老化により低下してくることに付随する行動の変化が見られます。部屋の段差や障害物などの生活環境をその時々の状況によって見直して、不安感をできるだけ取り除いてあげると良いでしょう。また歯や消化器官の状態などを見ながら、食事の内容も工夫していきましょう。

最近では高齢でも元気で覇気のある子も多く心強いばかりですが、上手に歳を重ねさせてあげるためにも、お散歩で足腰の筋力をキープしてあげたり、声をかけて気持ちの良さそうなところを撫でたりもんだりしてあげたりしましょう。 

一方、加齢に伴い免疫力が下がって病気にかかりやすくなる側面も見られます。疾病に伴う行動の変化を「加齢による変化かな」と考えてしまい、見逃さないようにすることが重要ですが、定期的な健康診断をするとより安心でしょう。

 

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