猫のライフサイクル

 

猫は生後約 1 年でヒトの成人年齢に達するといわれています。その後は 1 年ごとにヒトの 4 歳分くらいの年齢を重ねていきます。ヒトの加齢スピードとは比べ物にならない速さで歳を重ねていくかけがえのないわが子ですが、「今、この時」をしっかりと寄り添い、大切な命を愛しんで見守っていきましょう。

 

 

乳児期(誕生から離乳まで)

 

 

誕生したばかりの子猫の生存は完全に母猫や周囲に依存しています。排泄は母猫がなめることで補助をします。目はまだ閉じており、聴覚も未発達ですが、嗅覚を頼りにお乳の場所を探り母乳を飲みます。よく出る乳首は強い子が独占しようとしますが、それぞれの子が自分専用の乳首を決めます。子猫が生後 72 時間以内に飲む母乳を初乳といいますが、新しく命を授かった猫に初乳を飲ませることは、母猫からの免疫を移行させるためにも大変重要です。子猫はお乳を飲むときに足踏み行動をしますが、成猫になっても飼い主さんに対してすることがあります。

閉じていた目は平均 8 日で開きはじめ、耳の穴も平均 9 日で開きます。乳を飲んでは眠るという生活を続けていた子猫もよちよちと歩けるようになります。子猫が同胎の兄弟姉妹の猫や母猫との触れ合いの中で学習することは大変貴重です。母猫たちと触れ合ったり毛づくろいされたりすることは、成長後のストレス耐性に大きな影響があるといわれているのです。

猫は大変身軽で、高い所から落ちたときに身体をくるりと回転させて足から着地することができますが、この能力は生後 3 週目〜 6 週くらいでほぼ完成します。7 週間位経つと成猫とおなじくらいに上手に歩けるようになります。

子猫の社会化期は犬より早く、生後約 3 週〜 8 週ですが、猫が人間の社会で生きていくために最も重要な時期となります。この時期の子ネコはいろいろな新しいものや経験を受け入れて吸収することができます。この時期に飼い主さんが子猫を抱いたり撫でたり一緒に遊ぶことでヒトに慣れさせると、環境への適応力に富んで落ち着いた性格の猫になるといわれています。

猫は人とは異なり体に分布する汗腺が乏しいため、寒暖の変化に弱いどうぶつです。子猫が過ごすベッドはなるべく母猫の体温と同じくらいの温度にして、自由に移動できるスペースを用意しましょう。子猫が健やかに育つためには、飼い主さんの愛情、猫が過ごす静かで清潔な縄張り、適切な栄養、充分な睡眠、グルーミング、適度な運動が必要です。また、適切な健康管理のためにも検便などの健康チェックや予防措置は欠かせません。

 

 

子ども期(離乳期から性成熟まで)

 

 

生後 3 週目くらいから生え始めた乳歯も、離乳が完了する 8 週目くらいには生え揃います。
また生後 3 ヶ月を過ぎるころから永久歯が生え始めますが、その時期には個体差が大きいようです。ちょうどこの頃にペットショップさんから猫をご家庭に迎えられることも多いのではないでしょうか?まだまだ子猫ですし、環境の変化によるストレスが原因で病気を引き起こすこともありますので、子猫が充分な睡眠時間が取れるよう、構いすぎないでゆっくりとさせてあげましょう。家の中を探索し、夢中になって駆け回ることも多く、飼い主さんとしては目が回りそうにもなりますが、あらかじめ危険なものは片付けてしまい、安全な環境を作っておきましょう。

歯みがきやブラッシングなどのケアは、疾病の予防や早期発見という点でも大変重要ですが、大きくなってから心配をするよりも、小さいときから上手にほめながら習慣化することが大切です。「飼い主さんに触られるといい気持ちがいい」と思わせてあげ、「触られて当たり前」という雰囲気を作ってください。

猫は大体、生後 6 ヶ月〜 10 ヶ月頃に性成熟を迎えます。性成熟を迎えると、ホルモンの影響で行動にも影響があらわれてきます。男の子は女の子の発情期に合わせてなわばり行動(放浪)やスプレー行動、夜鳴きなどの行動を取るようになります。猫は犬と違い女の子の発情出血はありませんが、大きな声で鳴いて体をゴロゴロと床にこすり付けたり、腰の辺りを触られた時にお尻を持ち上げるような動作をします。また猫は交尾の刺激により排卵(交尾排卵)が起こります。

 

 

成猫期(性成熟から8〜9歳まで)

 

 

発達を遂げた猫はあまり運動をしなくなりますが、垂直方向に動くことを好みます。高いところに登りたがりますので、安全に登れる高いところを作ってあげましょう。反対に登ってほしくないところには天井まで物を置いて登れないようにするなど、工夫が必要です。

 

 

高齢期

 

 

7 〜 8 歳を過ぎると老化が始まってくる子も多いですが、10 〜 12 歳を過ぎても老化の兆しの見えない子もいます。一般的には 10 歳前後で老化の兆候を示しはじめるようです。加齢に伴って行動が少しずつ変化してきますが、いたわりの気持ちを持って寄り添っていきましょう。

感覚器系や神経系、消化器系などのさまざまな身体の機能が老化により低下してくることに付随して、猫の行動に変化が見られます。不安感をできるだけ取り除くよう工夫してあげると良いでしょう。猫はもともと良く眠るどうぶつですが、この時期にはいっそう眠っている時間が増えます。肥満予防という観点から、あるいは歯や消化器官の状態などを見ながら、食事の内容を工夫していきましょう。

最近では高齢でも元気で覇気のある子も多く心強いばかりですが、上手に歳を重ねさせてあげるためにも、少しずつ運動をさせることで足腰の筋力をキープするように気をつけてください。

一方、加齢に伴い免疫力が下がって病気にかかりやすくなる側面も見られます。疾病に伴う行動の変化を「加齢による変化かな」と考えて見逃してしまわないようにすることが重要です。このためにも定期的な健康診断をすると安心でしょう。

 

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