散歩
日光を浴びることはカルシウムを生産するためにも、体内時計を整えるためにも、たいへん重要です。筋肉の老化予防のためにも、肥満防止のためにも、お散歩はその子のペースにあわせて続けましょう。
ただし、体への負担を小さくする心配りも大切ですね。暑すぎたり、寒すぎたり、風が強すぎたりしないよう、なるべく心地よい時間帯などを選んであげましょう。お散歩の最中には、まめに水分補給をしてあげましょうね。ただし、体を冷やしすぎないように、冬場はぬるま湯をポットにいれてあげてもいいですね。
ヒトも、外の匂いや太陽の陽射しを浴びると、背伸びをしたくなりますね。これはシニアのどうぶつさんたちにとっても同じです。「ウチの子はもう・・」などといったら、シニアのどうぶつさんたちも悲しくなってしまいます。少しでも出来ること、少しでも楽しむことを見つけてあげましょう。自分の体をささえるのがしんどそうであれば、リードのもち方を工夫したり、補助用グッズを利用してみてもいいですね。
「さあ、散歩へ行こうね」、こんなときのワンちゃんが、立ち上がるのがしんどそうであったり、億劫そうにしているときは、床が滑らないようにマットなどの敷物を敷いてあげましょう。また、ワンちゃんの横から、掛け声をかけることで安心感を与えながら、腰を持ち上げるようにして介助してあげましょう。
目が見えづらくて不安そうなときも、飼い主さんは明るく楽しそうな声で誘導してあげてくださいね。そして、ワンちゃんを安心させてあげましょう。情報のほとんどを視覚にたよっている人間とは違い、ワンちゃんは聴覚、嗅覚など視覚以外から取り入れる情報がたいへん多いので、たとえ視力を失っても、ヒトが思うよりずっと不自由なく過ごせると言われています。
脚や腰に痛みがあるようなときには、足腰に負担がかかる階段や急な段差があるコースは避けてなるべく負担のない道を選びましょう。
お散歩後の様子はいかかですか?ぐったりしているのであれば運動量を減らしてあげて、気持ちよさそうにウトウト眠るくらいの量に調節してあげましょう。
食事
体を安静にしていても、どうぶつが生きていくためには、筋肉を動かし、内臓を機能させ、排泄をするなどにエネルギーを要します。これを基礎代謝量といいますが、基礎代謝量は加齢とともに減少します。若い頃にくらべシニア期に入ると、一日に必要とするエネルギー量は約20%減少するといわれていますので、体の変化に合わせた食事内容、食事量やカロリーを調節してあげましょう。
ただでさえ基礎代謝量が減ってくるのに加え、体を動かすのが億劫になってきて運動量が減ると、シニアのどうぶつさんたちは、肥満につながりやすくなります。肥満は関節等に負担をかけ、快適な生活の妨げになりますし、このほかにも肥満は糖尿病、高血圧、脂肪肝などの病気の病気を引き起こす素因になるともいわれていますので注意してあげましょう。
さて、シニア用のフードですが、脂肪分を抑えて良質のたんぱく質が含まれていることが一般的です。
これは高脂肪分は消化しづらく、消化機能が低下しているシニアのどうぶつさんには負担が大きいためです。しかしながら、適量の良質の脂肪の摂取はたいへん重要です。脂肪は効率が良いエネルギー源でもあり、また必須脂肪酸は細胞膜を構成し、健康な皮膚や被毛の維持にも欠かせません。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性ビタミンを運搬するのも脂肪です。脂肪を上手く味方につけてしましょう。
不飽和脂肪酸の一つであるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は脳細胞を活性化すると考えられています。きのこ類に含まれているβ−グルカンは免疫力を活性する働きがあるといわれていますし、関節の健康維持のためにはコンドロイチン、グルコサミンが役立つと考えられており、このような栄養を含んだフードやサプリメントも最近見かけますね。
高齢になった場合にも、たんぱく質の要求量は変わらないといわれており、筋肉量の維持のためにも、消化の良い適量のタンパク質が必要といわれています。また、良質のたんぱく質を与えることは筋肉量をキープに必要なだけでなく、免疫力を付けることにもつながります。
また、繊維類を多く含むことで消化機能を改善し、同じ量を食べたときに満腹感を感じるように工夫してあります。
シニア用のペットフードの特徴としては、このほかにも、商品により抗酸化作用を持つビタミンEやビタミンC、ベータカロチン、セレンなどが強化されていたり、脂肪分やたんぱく質の代謝をたすけるビタミンB群が含まれたり、それぞれの商品によりいろいろな工夫がされていますので、獣医さんにアドバイスを求めるなどして、お子様にあわせて選んであげましょう。
さて、年齢にあわせたフードの種類や食事の与え方に変える際の注意点ですが、必ず少しずつ移行するようにしましょう。ウンチの状態をみながら、変更する食事内容への割合を少しずつ増やしていきます。食欲がないときには、ドライフードにお湯をかけるなどして温かい状態で与えたり、肉やお魚から出したスープをかけるなどして食欲を刺激するとよろしいでしょう。なお、熱湯はフードの栄養を壊してしまう恐れがあるので、冷ましてからかけるようにしてくださいね。
「食事は楽しい!」と思わせてあげることが大切です。ワンちゃんやネコちゃんが食べないときに「食べてね」と声をかけると、飼い主さんに声をかけれることがうれしい子たちに対して、食べないことにご褒美を与えてしまうことがあります。 食べたら褒めてあげることで、「食べるのは楽しい!」と思わせてあげましょう。
また、加齢に伴い消化能力も若いときと同じようにはいかなくなることもあるかもしれません。こんなときには、一回の食事量を減らして回数を増やしてもいいでしょう。最近、腸内細菌叢の善玉菌を増やそう、などということをマスコミなどで耳にする方もいらっしゃると思いますが、腸内細菌叢の改善に役立つといわれるのは、ヨーグルト、オリゴ糖、食物繊維などといわれています。
年を取ると喉の渇きに鈍感になるのはヒトもワンちゃんやネコちゃんも同じです。新鮮なお水をいつも用意しておきましょう。オシッコをしっかり出して、水分を充分に取ることはもちろん大切なことなのですが、多飲多尿などの症状で気付く病気もあります。内分泌疾患や糖尿病、膀胱炎などが挙げられますが、飲水量がこのところ多い、オシッコの量が多い、などというときには動物病院さんに相談してみましょう。病院さんへ通院の際には飲水量とオシッコの量がどのくらいであるかを量ってから先生にお伝えいただければ、なお診察がスムーズに進むでしょう。
ワンちゃんやネコちゃんはお食事のときには下を向いて食べることになるのですが、お首に痛みを感じている場合などには食べるのが辛そうであったり、上手く食べられないようなこともあるかもしれません。こんなときには、お食事台を用意してあげたり、食器を持ち上げてあげた状態で食べさせてあげても良いでしょう。
また、横に寝かせた状態で食事を与えると、食事が喉に詰まってしまう心配がありますので注意をしましょう。フセの状態で与えたり、飼い主さんのお膝を利用して上体を支えたり、クッションなどに寄りかからせるなどしてもよいですね。
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