トイレ
シニア期になると排泄のコントロールが思うようにいかないこともみられます。したいと思ったときにすぐ行ける場所にトイレを用意したり、トイレのシートを多目に敷くようにしてあげましょう。
なお、ワンちゃんの排泄では、成長にしたがってお家では排泄をしたがらなくなることもありますが、「もう必要がない」とトイレシートを撤去してしまうのではなく、「いつでもここでしたらいいよ」という場所を用意し続けておくと、高齢になって外での排泄が間に合わないときなどに助かるかもしれません。
足腰の筋力が落ちてきてうまく踏ん張れないときには、後ろから腰を支えて介添えをしてあげましょう。きっと上手く踏ん張れなくなったことでワンちゃんやネコちゃんもショックを受けていると思います。明るい声で励ましてあげてくださいね。
オムツをする必要があるときには、汚れたらすぐに外してあげ、体を拭いたり洗った後にはすぐに乾かしてあげましょう。人間用のオムツを利用するときには尻尾を通す穴を作ってあげてもいいですね。ワンちゃんやネコちゃんが動けないときには、腰の周囲にトイレシーツを敷いて排泄させてあげてもいいですね。寝床を汚さないようにするためには、乾きやすいバスタオルや着古しのトレーナーなどをカバー代わりに敷いてもいいでしょう。
被毛の長いタイプのワンちゃんやネコちゃんには、汚れをふき取りやすく清潔を保つためにも、肛門の周りや陰部をカットしてあげても良いでしょう。
ただし、少しでも状態のいいときには自力で排泄できるように、介助しながら、励ましてあげてくださいね。自尊心が大切なのは、人もワンちゃんもネコちゃんも同じです。
居住スペース
加齢とともに体温調節機能が低下してきますので、夏の暑さ、冬の寒さ、じめじめとした梅雨の季節など、不快な気候のときの環境には注意が必要です。暖房、冷房、除湿機能、ひんやりとした素材のマット、毛布などを利用して快適な状態を用意してあげましょう。ただし、空調が効きすぎていないか、暑すぎたり寒すぎたりして不快なときに自分で気持ちのいい場所を探せるようにすることも大切です。自分で居場所を移動できない子にホットカーペットを利用してしまうと、低温やけどを起こす危険性があるため、ホットカーペットのご利用は避けるようにしましょう。冷たい空気は低いところにたまるので、どうぶつたちの過ごすあたりの状態をちょっとしゃがんで感じてみて、どんな状態で過ごしているのを確認してあげるといいですね。また、外と家の中の寒暖差などにも注意が必要です。暑い時期は、冷房が効いた部屋から出て、すぐ外出するのではなく、少し玄関の外と家の中の中間あたりの気温で少しからだを慣らしてから外に出るなどしてあげると、体に優しいでしょう。
筋肉量が減少して、なおかつゆったりと横になっている時間が増えてくると、シニアのどうぶつにとって、「床にあたって体が痛い」ということもあるかもしれません。可能であれば孤独感を感じないで済む場所・・・ご家族が集う場所に、厚みのある、柔らかい素材のマットなどを敷いてあげて、快適に過ごせるあんしんできる場所を整えてあげましょう。 滑りやすい床には滑らないカーペットなどを敷いてあげたり、階段や玄関ステップから落ちてしまわないように、柵などで自由に動ける範囲を囲ってあげてもいいですね。
最近、物にぶつかる、歩くときに恐そうにするなど、行動の変化があり、目にトラブルがあることに気がつくことがあります。このようなときには早めに動物病院に相談して適切な対応をしましょう。
先にお話をしましたが、人間の情報入手は、ほとんどを視覚に頼っていますが、ワンちゃんやネコちゃんは嗅覚や聴覚がたいへん発達しています。どうぶつはたくましいものですから、わが子を信じて、明るい声で「こっちだよ」と道を誘導してあげましょう。「いつもと環境をなるべく変えない」、「落ちやすいものをテーブルの上などに置かない」、「ぶつかっても痛くないように家具の角にウレタンなどの緩衝材を設置してあげる」などをしていただき、環境と整えてあげましょう。このようにすることで、不安感取り除いてあげれば、変わりなく楽しく生活を送り、そんなわが子の姿に反対に励まされることもあるでしょう。なお、ワンちゃんやネコちゃんに触れるときにも、恐がらせないように声をかけてからにするとあんしんさせてあげられるでしょう。
ワンちゃんやネコちゃんのお世話をしていて、いつも特定の場所を触れると反応し、痛みが出ている様子はありませんか?体に不安がある状態で、急に触れられれば、自分を守るため思わず攻撃的になるかもしれません。このような事態をなるべく防ぐためにも、声をまずかけてからお世話をするとよいでしょう。また、耳が遠くなり、聞こえづらい様子であれば、ジェスチャーと笑顔を使って、心で会話をしましょう。加齢にともない環境の変化に耐えられなくなることもあるかもしれません。なるべく先が読める生活のリズムを刻んであげることで安心をさせてあげましょう。
何か気がかりなことがある場合には、動物病院に相談をしてみましょう。ワンちゃんやネコちゃんが若いときとは違うコミュニケーションを編み出し、混乱したり不安を感じないで済むようにしてあげましょう。