幸せなシニア世代のために(2)  食事編  <猫>

肥満に注意

体を安静にしていても、どうぶつが生きていくためには、筋肉を動かし、内臓を機能させ、排泄をするなどにエネルギーを要します。これを基礎代謝量といいますが、基礎代謝量は加齢とともに減少します。若い頃にくらべシニア期に入ると、一日に必要とするエネルギー量は約20%減少するといわれていますので、体の変化に合わせた食事内容、食事量やカロリーを調節してあげましょう。

ただでさえ基礎代謝量が減ってくるのに加え、体を動かすのが億劫になってきて運動量が減ると、シニアのネコちゃん達は、肥満につながりやすくなります。肥満は関節等に負担をかけ、快適な生活の妨げになりますし、このほかにも肥満は糖尿病、高血圧、脂肪肝などの病気の病気を引き起こす素因になるともいわれていますので注意してあげましょう。

 

シニア期に適した栄養

 

シニア用のフードですが、若いネコちゃん用の食事よりも脂肪分を抑えて良質のたんぱく質が含まれていることが一般的です。
これは、高脂肪分が消化しづらく、消化機能が低下しているシニアのどうぶつには負担が大きいためです。ただし、適量の良質の脂肪の摂取はたいへん重要です。脂肪は効率が良いエネルギー源でもあり、また必須脂肪酸は細胞膜を構成し、健康な皮膚や被毛の維持にも欠かせません。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKといった脂溶性ビタミンを運搬するのも脂肪です。脂肪を上手く味方につけてしましょう。

不飽和脂肪酸の一つであるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)は脳細胞を活性化すると考えられています。きのこ類に含まれているβ−グルカンは免疫力を活性する働きがあるといわれていますし、関節の健康維持のためにはコンドロイチン、グルコサミンが役立つと考えられており、このような栄養素を含んだフードやサプリメントも最近見かけますね。

高齢になっても、たんぱく質の要求量は変わらないといわれており、筋肉量の維持のためにも、消化の良い適量のタンパク質が必要といわれています。また、良質のたんぱく質を与えることは筋肉量をキープに必要なだけでなく、免疫力を付けることにもつながります。
また、繊維類をある程度含むことは便秘予防になりますし、同じ量を食べたときに満腹感を感じられます。

シニア用のペットフードの特徴としては、この他にも商品により抗酸化作用を持つビタミンEやビタミンC、ベータカロチン、セレンなどが強化されていたり、脂肪分やたんぱく質の代謝を助けるビタミンB群が含まれたり、それぞれの商品によりいろいろな工夫がされていますので、獣医にアドバイスを求めるなどしてうちの子にあわせて選んであげましょう。

 

食事の移行時の注意

 

年齢にあわせたフードの種類や食事の与え方を変更する際の注意点ですが、必ず少しずつ移行するようにしましょう。ウンチの状態をみながら、変更する食事内容への割合を少しずつ増やしていきます。食欲がないときには、ドライフードにお湯をかけるなどして温かい状態で与えたり、肉やお魚から出したスープをかけるなどして食欲を刺激するとよろしいでしょう。なお、熱湯はフードの栄養を壊してしまう恐れがあるので、冷ましてからかけるようにしてくださいね。
「食事は楽しい!」と思わせてあげることが大切です。ネコちゃんが食べないときに声をかけると、飼い主さんに声をかけれることがうれしい子たちに対して、食べないことへのご褒美を与えてしまうことになってしまうかもしれません。食べたら褒めてあげることで、「食べるのは楽しい!」と思わせてあげましょう。
また、加齢に伴い消化能力も若いときと同じようにはいかなくなることもあるかもしれません。このような時には、一回の食事量を減らして回数を増やしてもいいでしょう。最近、腸内細菌叢の善玉菌を増やそう、などということをマスコミなどで耳にする方もいらっしゃると思いますが、腸内細菌叢の改善に役立つといわれるのは、ヨーグルト、オリゴ糖、食物繊維などといわれています。

さて、ネコちゃんはお食事のときには下を向いて食べることになるのですが、首に痛みを感じている場合などには食べるのが辛そうであったり、上手く食べられないようなこともあるかもしれません。こんなときにはお食事台を用意してあげたり、食器を持ち上げてあげた状態で食べさせてあげても良いでしょう。
また、横に寝かせた状態で食事を与えると、食事が喉に詰まってしまう心配がありますので注意をしましょう。飼い主さんの膝を利用して上体を支えたり、クッションなどに寄りかからせるなどしてもよいですね。

 

水分摂取と日光浴

 

年を取ると喉の渇きに鈍感になるのは人もネコちゃんも同じです。高齢ネコちゃんになると、水分摂取量が不足することによる泌尿器科系の病気が多くなります。新鮮なお水をいつも用意しておきましょう。一方で、水分を充分に取り、オシッコをしっかり出すことは、もちろん大切なことなのですが、多飲多尿などの症状で気付く病気もあります。内分泌疾患や糖尿病、膀胱炎などが挙げられますが、飲水量がこのところ多い、オシッコの量が多い、などというときには動物病院に相談してみましょう。病院へ通院の際には飲水量とオシッコの量がどのくらいであるかを量っておき、それを先生に伝えられれば、なお診察がスムーズに進むでしょう。
また、日光を浴びることはカルシウムを生産するためにも、体内時計を整えるためにも、たいへん重要ですので寒い冬には窓越しで日向ぼっこをさせてあげ、また肥満防止のためにも、運動量を確保できるようにしてあげましょう。

 

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