犬と猫の赤ちゃんの育て方の違いは?どんなことに気を付けたらいい?

 

「家で飼っている犬が出産したけれども、お母さんが育てようとしない」、「産まれたばかりの子猫を拾った」・・・この様な経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ペットショップやブリーダーで販売されている子犬・子猫は離乳が済んでいることが一般的なので、離乳前の赤ちゃんのお世話をする機会はあまりないかもしれませんが、本来であればお母さんのオッパイを飲み、お母さんや兄弟たちの温もりの中で過ごしているはずの、産まれて間もない時期の赤ちゃんを人の手でお世話することは、とても大変なことです。
突然、そのような状況になっても、あわてないで済むように、基本的な赤ちゃんのお世話の仕方を紹介しましょう。

 

産まれてどのくらいの赤ちゃんかしら?

誕生日のわかっている赤ちゃんであれば問題はありませんが、拾ったり保護したりした赤ちゃんの場合、「生後どのくらいの赤ちゃんなのか」が把握できないこともあります。個体差はありますが、次のようなことを目安にしていただくとよろしいでしょう。

生後5〜6日・・・「へその緒がとれる」
生後約10日・・・「目が開き始める」
2週齢〜  ・・・ 「よちよち歩く」、「乳歯が生え出す」、「目がほぼ開く」
3週齢〜   ・・・ 「四肢で立てるようになる」、「自力で排泄するようになる」、「目がパッチリと開く」
4週齢〜  ・・・ 「離乳食を始める」

犬は犬種による体格差が大きいので参考にはなりませんが、猫の場合には、次の表のように、体重もある程度の指標になります。体重は栄養状態によってもばらつきが生じます。あくまでも目安として参考になさってください。

【猫の成長の目安】

生後の日齢 標準体重
1〜5日 130g
6〜10日 130g
11〜15日 230g
16〜20日 280g
21〜25日 330g
26〜30日 390g
31〜35日 450g


また、すでに歯の生え始めている赤ちゃんの場合は、歯の生え具合で推測することもできます。

【乳歯の生えるおおよその時期】

歯の種類・位置

切歯   第1

     第2

     第3

4〜5週齢

4〜5週齢

5〜6週齢

2〜3週齢

2〜3週齢

3〜4週齢

犬歯 3〜4週齢 3~4週齢

前臼歯  第1

     第2

     第3

4〜6週齢

4〜6週齢

6〜8週齢

8週齢

4〜5週齢

4〜6週齢

 

とにかく保温が大事!

赤ちゃんの時期は体温調節が苦手です。特におおよそ生後2週間までの赤ちゃんは自分で体温調節ができません。本来はお母さんや一緒に生まれた兄弟たちと体を寄せ合い体温を維持しますが、そんな家族と離れてしまった赤ちゃんは、体温を維持することができません。とにかく保温してあげることが重要です。
身の回りのものを利用して用意できる、次のような「子育て箱」がお勧めです。
ポイントは、冷気が入るのを防ぎ、箱全体を適度に暖めること、そして赤ちゃんが暖かいところ(湯たんぽのそば)に近づいたり離れたりして、自分で快適な場所を選ぶことができるようにしてあげることです。

 

オシッコ・ウンチをさせる

3週齢くらいまでの赤ちゃんは、自力で排泄ができません。
本来はお母さんが陰部や肛門をなめて、刺激することで排泄を促しますが、お母さんがいない場合は、人が介助をしてあげなければなりません。3〜4時間おき(ミルクを飲ませる度に)に、ぬるま湯に浸したティッシュで陰部と肛門を優しく刺激して排泄させます。
オシッコは毎回するはずです。ウンチは2〜3日出ないこともありますが、これ以上出ないようであれば、便秘の可能性もあります。動物病院を受診しましょう。
自力で排泄できる犬や猫の場合は、ケージの中になど、適当なところにトイレを用意してあげましょう。
トイレのしつけについては、犬・猫のしつけについて、以下のページをご参考になさって下さい。
トイレのしつけ <犬> 
トイレのしつけ <猫>

 

ミルクを飲ませる

犬と猫では必要な栄養が異なります。また、牛乳や人の赤ちゃん用のミルクでは、犬と猫の赤ちゃんを育てることができません。子犬には子犬用の、子猫には子猫用のミルクを飲ませましょう。(動物病院やペットショップ、ホームセンターなどで手に入ります。)

【用意するもの】
・哺乳びん(子犬・子猫専用の乳首の小さいもの)
・ミルク(子犬・子猫専用のもの)
粉ミルクの溶かし方、与える量・回数については、それぞれのミルクの説明書きに従って下さい。 
熱くても冷たくても赤ちゃんは飲んでくれません。ミルクは必ず毎回調合し、人肌程度の温かさにして飲ませましょう。

【飲ませ方】
3〜4時間おきに、1日5〜7回飲ませます。赤ちゃんが空気を吸わないで済むように工夫をしましょう。
1. 哺乳びんを逆さまにして乳首の中をミルクで満たします。
2 ほんの少し哺乳びんを圧迫して、乳首の先にミルクを出します。
3 赤ちゃんの口に乳首を入れます。あとは赤ちゃんが吸うのに任せます。
 ※誤嚥を予防するため、乳首が口の中にあるときに無理に哺乳びんを押さないようにしましょう。 
4 赤ちゃんが首を横に振ったりイヤイヤをし始めたりしたら、「もういらない」の合図です。
5 最後にどのくらいの量を飲んだかを測って記録しましょう。
毎日体重を測り、少しずつ体重が増えていくようならOKです。
もし体重が増えないようなら、量または回数を増やす必要があります。
 ※丸一日以上飲まないようだと低血糖になってしまうことがあります。うまく飲めないときは病院へ相談しましょう。

 

離乳食への移行

離乳の目安は3〜4週齢です。手元にやってきた赤ちゃんが、すでに3〜4週齢以降になっていれば、自分で飲んだり食べたりできる場合もあります。まず子犬・子猫用のミルクやお水を用意して小さな器に入れてみて、自分で飲もうとするかどうかを見てみましょう。
自分で飲めるようなら、離乳食を試してみることができます。
子犬・子猫の離乳食は、専用の離乳食として販売されているものを利用してもかまいませんし、
子犬・子猫用(成長期用)のドライフードや缶詰をミルク(子犬・子猫専用のもの)やぬるま湯でふやかしてお粥状にして与えてもかまいません。いずれにしても、必ず「総合栄養食」と記載されているものを選びます。
子犬や子猫は胃が小さく消化機能も未発達なので、1度に多くの量を食べることができません。
1日量を少量ずつ何回にも分けて(週齢にもよりますが、1日4〜6回くらい)与えましょう。
離乳食を十分食べられるようであれば、
飲み水として水道水をおいておくだけで特にミルクを飲ませる必要はありませんが、
食べられる量が少なかったり、体重があまり増えてこなかったりするようであれば、ミルクも足してあげるとよいでしょう。

【ご注意いただきたいこと】  
拾ったり保護したりした赤ちゃんの中には、お母さんと別れた後、絶食が続いてしまっている場合もあります。
赤ちゃんが喜んでいるからといって、急にたくさん飲ませたり食べさせたりしないように注意しましょう。少量ずつ、様子を見ながらあげるようにして下さい。3日くらいかけて、「このくらいの体重の子であれば、このくらいの食事量が理想」という目安の量に近づけるようにしましょう。

 

成長を記録する

赤ちゃんが順調に成長しているかをチェックするために、「子育て記録」をつけておくとよいでしょう。
記入する内容は「体重」、「健康状態」、「ミルクや離乳食の時間と量」、「おしっこ・うんちの記録」等です。
体重は毎朝排泄を済ませた後、ミルクや離乳食を与える前に測ると誤差が少なくなります。
前日より体重が落ちていても健康である場合もあるかもしれませんが、
数日単位(4〜5日)でみて全く増えていない場合には、何らかの問題がある可能性があります。
動物病院さんへの受診は、このようなことを目安にすると良いでしょう。
これ以外にも、「ミルクを飲む量が増えているか」、「オシッコやウンチの排泄が順調か」等もチェックをしましょう。

 

赤ちゃんの身体を清潔に保つために・・・

お母さんは、赤ちゃんの身体をぺろぺろとなめまわすことで排便排尿を促し、赤ちゃんに刺激を与えますが、
これは、同時に身体を清潔に保つことにも役立っています。
赤ちゃんがミルクや離乳食を摂取した後には、お母さんに代わって口の周りや身体についた汚れを拭いてあげましょう。
また、1週間に1〜2回、タオルをぬるま湯に浸して絞り、そのタオルの中で赤ちゃんを転がして全身をきれいにしてあげましょう。
赤ちゃんにとって、これはちょうどお母さんが全身をなめるのと同じような感じになります。
赤ちゃんの皮膚はとてもデリケートですので、タオルでごしごししたりせず、優しくやってあげてくださいね。
また、終わった後は冷えて体調を崩さないように室温の管理などに注意をしましょう。

 

こんなときは病院へ

成犬や成猫と違って赤ちゃんは体力がありません。
体調を崩すと生死にかかわるような状態にまで急変してしまうこともあります。
少しでも「様子がおかしい」と感じることがあれば、早めに受診するようにしましょう。
特に次のような状態のときは早急な受診が必要です。
・ミルクを飲まない/離乳食を食べない
・身体が冷たい(低体温)/身体が熱い(発熱)
・ぐったりしている
・体重が増えない/やせている
・お腹が常にふくれている
・鳴き続ける
・吐く/下痢が続いている
・うんちが3日以上出ない
・目やに・鼻水が出る
・呼吸が荒い・咳が出る など

 

お家に先住の犬や猫がいる場合・・・

拾ったり保護したりした赤ちゃんの中には、伝染病や寄生虫など、他の犬や猫にうつるような病気を持っていることもあります。動物病院で確認をしてもらうまでは、お家の犬や猫と接触させないようにしましょう。
特に赤ちゃんに次のような症状がみられる場合には注意が必要です。
 ・咳、くしゃみ、涙目、目やに
   伝染性の呼吸器感染症にかかっていることが心配されます。
   犬では、ケンネルコフ、ジステンパーなど
   猫では、猫伝染性鼻気管炎、カリシウイルス感染症など
 ・下痢、嘔吐
   ウイルス感染では、パルボウイルス感染症、コロナウイルス感染症、ジステンパー など
   細菌感染では、カンピロバクター、クロストリジウム など
   原虫感染では、コクシジウム、ジアルジア、トリコモナス など
   寄生虫感染では、回虫、鉤虫、条虫 など
 ・脱毛、湿疹、体を痒がる
   ノミ、疥癬、皮膚糸状菌症 など 
※特に皮膚疾患の場合、人へ感染することもあります。症状が出ている場合は直接触らない等の注意が必要です。

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。


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