骨格
猫の脊椎は7個の頸椎、13個の胸椎、7個の腰椎、3個の仙椎から成り立っており、全部で244本の骨を持っています。この数は、ヒトよりも40本ほど多いのですが、この多い分のほとんどは背骨と尻尾を構成しています。また、猫の背骨は骨どうしがゆるやかに繋がっているため、どの方向にもやわらかく曲がります。
ヒトの骨格との大きな違いは、鎖骨と肩甲骨、つまり肩の部分です。猫は顔さえ通れば全身が通り抜けられるような柔軟な身体を持っていますが、これを可能にしているのが鎖骨と肩甲骨なのです。猫の鎖骨は非常に小さく退化し、ヒトと違って肩の関節に繋がっていないため、柔らかな関節によりしなやかに体を動かすことができます。また、猫の肩甲骨は首の後ろ側にあるので、足の動きに従って自由に動かすことができます。
猫の歩き方
猫は常にかかとを浮かせて爪先立ちで歩いています。常に爪先立ちで歩いているということは、いつでも俊敏に走れるということになり、こんなところからもハンターとしての優れた能力を伺い知ることができます。
この歩き方は足の構造によるものです。後ろ足の前方に突き出している関節がひざになり、ひざの後ろに突き出ている関節がかかとになるため、地面に接している指や肉球にかかとの部分はありません。
猫の視覚
猫の目は広い視野と視覚を持ち、暗くてもわずかな光があれば見えるようになっています。瞳孔から入ってきた光が網膜に焦点を結んで映像を映し出すのですが、網膜の下にあるタペタムという組織が反射板のような役目をして、網膜を通り過ぎた光をもう一度網膜に送り返しているからです。また、猫には棹体細胞(かんたいさいぼう)という光を感知する細胞がヒトの6〜8倍あると言われています。このようなわけで、猫は暗闇でも物を見ることができるのです。
ところで、猫の瞳孔は明るい場所では縦長に、暗い場所では円形になるのですが、これは、夜行性の猫にとって明るい場所などで光の量が多すぎてしまった時には、瞳をたて長に細くすることで取り入れる光の量を調節しているからなのです。
猫の目はヒトと同じように顔の前面に位置していますが、目の位置が顔の側面ではなく前面にあることで、両目で見える範囲が広がり、目の前にあるものを的確に観察し、獲物までの正確な距離を測ることが出来ます。色覚については、犬同様、猫も赤色に関する色覚はほとんど発達しておらず、青と緑の組み合わせにより視覚処理をしていることになります。
猫の嗅覚
犬ほどではありませんが、猫の嗅覚もかなり優秀です。また、猫の鼻はいつも潤っており、このことは狩りのときに風向きを察知するのに役立っているといわれています。 猫の鼻は温度の変化に敏感で0.5度の差も感じ分けることができるといわれています。
さて、猫は相手のフェロモンを感じると口を半開きにして、目を半分閉じて笑っているような表情をすることがありますが、これをフレーメン反応といいます。
フレーメン反応をしているときの猫は、相手の猫がどういう状態にあるのかを分析しているのでしょう。
猫は上顎にあるヤコブソン器官(鋤鼻〈じょび〉器官)でフェロモンを感じますが、猫はマタタビやイヌハッカの匂いを嗅いだときに恍惚とした表情を見せるのも、匂いに含まれる物質にヤコブソン器官が反応するためと考えられています。
猫の聴覚
猫の聴力で優れているのは、ヒトでは聞き取れないような高い周波数の音を聞くことができるだけではなく、耳を180度回転させることができ、正確な音源を察知できるという点です。 この能力は待ち伏せ型の狩猟をする猫にとってはきわめて重要な能力だといえるでしょう。
猫の聴力は非常に早くから発達が始まり、生後数日で音へ敏感な反応を見せるようになり、2週間経てばその方向を捉えるようになると言われています。このように優れた聴力を持つ猫ですから、猫の過ごすスペースが音の溢れた場所にならないように気をつけてあげましょう。
猫の味覚
猫は糖を感じる受容器が欠損しているため、甘みは感知できないといわれています。
猫の舌をよく観察してみると表面が固くザラザラしていますが、これは舌の表面に「糸状乳頭」というトゲ状の突起が咽の方に向かって生えているからです。この突起は猫が毛づくろいをするときにブラシのような役割をしたり、骨から肉をそぎ落としたり, 水を口の中に運ぶ時に役立ちます。よく熱いものを食することが苦手なヒトのことを猫舌といいますが、猫の舌は温度にも敏感に反応します。考えてみたらどうぶつが熱く調理したものを食べないのは普通の事ですから、猫に食事をあげるときはヒトの体温より低い30度前後まで冷ましてあげましょう。
※コメント欄は、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
お近くの動物病院をお探しの方はこちらアニコム損保動物病院検索サイト
すぐに相性の良し悪しがわかることもありますが、次第にネコちゃんたちの関係性が変化することもあるので、2週間ほどは様子を見ていただければと思います。
あまり大きな声で鳴かないネコちゃんもいますが、声が出しにくそう、かすれている、むせるなどその他の症状がある場合は、風邪などの疾患の可能性もありますので、受診がおすすめです。