蝶々もイモリも鮫も鯨も・・・目撃のチャンスはあまりありませんが、みんなオシッコをします。
「良い排泄は健康の源」というのは、昆虫でも両性類でも魚類でも哺乳類でも、皆同じ! 生きていく中での基本的な行動なのですね。今日もうちの子はいいオシッコをしているのかしら? 色は? においは? 回数は? 日頃から気にかけることで、「いつもと何か違う」という異常を早期に発見することにつながります。
オシッコの正体に迫ろう!
当たり前に繰り返される排尿行為ですが、出てくる液体・・・オシッコとはいったい何なのでしょうか?そしてオシッコを作る臓器はどのような働きをしているのでしょうか?
オシッコはどこで作られるの?
血液を介して生命の維持に必要な栄養素などが体の隅々まで配られます。また代謝などの後、不必要になった老廃物は血液を介して回収されます。
この老廃物の中には蛋白質を分解した際に作られるアンモニアなど、毒性が高いものも多く、この老廃物を体外に捨てることは、生存のための大変重要な仕事です。
(魚類や両生類ではアンモニアのままの状態でオシッコ中に排出しますが、爬虫類や鳥類などでは尿酸に変化させから排出します。一方、哺乳類では、肝臓で尿素とし、無害化して排出します。)
血液の中の老廃物や代謝後にできた毒素を腎臓でろ過後、水分と一緒に排出させたものがオシッコです。また排出のための泌尿器系と呼ばれる一連の器官が、腎臓、尿管、膀胱、尿道です。
オシッコを作る場所☆腎臓の働き
1.オシッコを作る
腎臓は他の臓器とは比較にならないほどの多くの血液を受け取り、血液中の有害物や老廃物などを体外へ尿として捨てるためにせっせと働きます。ところが腎臓のろ過機能が上手く働いていないと、本来はろ過されているはずの成分が血液中や尿中に残ってしまうことになります。
2.原尿を濃縮する
尿の作成は腎臓の中の糸球体と呼ばれるところで血液をろ過することから始まります。このときにできた尿(原尿あるいは一次尿)は体重10kgの犬の場合、一日に約50リットルにも及びます。次に、この原尿は腎臓内を移動する中で再吸収と濃縮がなされ、尿中に残っている物質の中で体に必要なものは、再び血液中に再吸収されます。このように、必要な栄養素や水分は残さず吸収して、体内から排出される水分量を抑えることで体内の水分量などの環境を調節するのも腎臓の重要な働きです。
3.ホルモン等の合成と分泌
精巧なろ過機能と濃縮機能を併せ持つ腎臓には、尿を作る以外にも「ホルモンなどの合成と分泌」という重要な働きがあります。代表的なものとしては次のようなものがあります。
(1)ビタミンDの活性化
腎臓では、カルシウムやリンの吸収や骨の代謝を促進、血液中のカルシウムの濃度を調節する重要な働きがなされています。ビタミンDは食品から摂取したり、紫外線により合成が促されたりしますが、ビタミンDのままでは働くことができません。主に腎臓で水酸化(活性化)される必要があるのです。この水酸化という機能は、血液中のカルシウム濃度により副甲状腺ホルモンなどの働きで調節されます。したがって、腎臓がしっかりと働かないと、合併症として骨密度の低下などの症状が生じてしまいます。
(2)エリスロポエチンの合成・放出
血液は骨髄で作られていますが、エリスロポエチンというホルモンは骨髄を刺激、赤血球の合成を促進します。このため、腎臓に障害がでると、鉄が足りているのに起きる貧血(腎性貧血)が起きてしまいます。
(3)レニンの合成と放出
レニンは血管収縮と血圧調節に関わる物質です。血圧の低下に伴い腎臓からレニンが放出されると、副腎皮質からアルドステロンが放出されてナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促し、血圧を上げる仕組みになっています。腎臓の機能が血圧の調整とかかわりがある原因はこのようなところにあるのですね。
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