動物病院に行こう(1) <動物病院を選ぶポイント>

 

「どの動物病院を選ぶか」ということは、どうぶつとの生活を明るく楽しいものにしていく上で、とても重要なことの一つです。そして、このことは、飼い主さんが一度は頭を悩ませることでもあります。

動物病院は、その病院によって設備や規模、治療や予防の方法、さらに診療費等についてそれぞれの違いがあり、特色があり・・・ほんとうに千差万別です。そして、動物病院で働く獣医師さんやスタッフも十人十色、診療に対する考え方もさまざまです。 このような中、「赤ひげ先生」に象徴されるような頼れる獣医師さんに出会え、最愛の どうぶつの健康を守り、最適な診療を受けさせていくことができたら、ほんとうに幸せですね。

信頼できる動物病院を見つけ上手に利用するためには、どうぶつに動物病院好きになってもらうためには、納得のできる医療を受けるためには・・・どのような工夫や努力が必要なのでしょうか。

 

こんなところに着目!

 

「人は見た目では分からない」といいますが、動物病院の良し悪しも見た目だけで判断することは難しいのかもしれません。それでも目で見て分かることが、実はたくさんあります。また、実際に獣医師さんやスタッフの方とお話をすることで、分かってくることもあります。ここでは、動物病院を選ぶ際の着目のポイントについてご紹介します。

【清潔感があるか】
動物病院は、いろいろな病気を持ったどうぶつが来る所ですから、院内感染には徹底的に注意する必要があります。院内感染に配慮していれば、徹底した掃除や消毒は必要不可欠ですし、病院内だけでなく、患者さんが集まる病院周り(玄関、庭、駐車場など)の衛生状態にも気を使う必要があります。また、病院内や病院周りの清潔さが保たれているかどうかは顧客サービスにどれだけ配慮しているかの目安にもなります。

【どうぶつに愛情を持って接してくれるか】
獣医師さんや動物病院のスタッフとして、「必要な知識や技術を持っているか」という点は大事なことですが、適切な診察は、どうぶつの協力がなくてはできません。したがって「愛情を持ってどうぶつを丁寧に扱い、安心感を与えることができているか」ということは、とても重要だといえます。もちろん、的確な診断や治療を行うためには、やむを得ずどうぶつの嫌がることをしなければならないのも事実ですが、「十分な配慮をして、極力恐怖や苦痛を与えない工夫をしているか」という点も大切なポイントなのではないでしょうか。

【常に勉強して新しい知識、技術を取り入れようとしているか】
獣医学の発展は日進月歩です。過去には治らないとされていた病気でも、医療技術の進歩により完治が望めるようになったり、予防方法が確立されたことで防げる病気が増えてきたりしています。また、早期発見のガイドラインが示され、病気の重症化を防ぐことができるようになったりしています。さまざまな治療法の選択肢が増えて、よりどうぶつにとって優しい治療法を選択できるようになってきています。古い知識に固執せず、常に新しい情報を取り入れて、「より良い獣医療を提供するために勉強を続けているかどうか」は、大事なポイントかもしれません。病院のホームページや、待合室の掲示物などは、そのようなことを伺い知る機会といえるかもしれません。

【 時間外の緊急時に対応してもらえるかどうか、あるいは対応できる病院を紹介してもらえるか】
病気やケガは時間を選びません。夜間、休診日など、診察時間外の緊急時でも対応してもらえることは、大きな安心感となります。ただ、規模の小さい病院、スタッフの少ない病院では、当然365日、24時間の対応が不可能な場合も多いでしょう。そのような病院でも、提携の救急病院などで休診日に診察をしていたり、つながりのある動物病院などを紹介してもらえると安心ですね。

【その病院内で対応できない時や高度な医療が必要な時、他の病院を紹介してもらえるか】
設備や技術などの面からその病院内では対応しきれないと判断されたとき、「必要な診療体制の整った病院をスムーズに紹介してもらえるか」ということも大切なポイントです。どうぶつの病気やケガは多岐にわたり、当然、一人の獣医師の力では手に負えないという場面も出てきます。また、二次診療病院、三次診療病院といった、より設備の整った専門の病院で診てもらうことで、より良い治療が受けられると判断される場合もあります。そのような時に、「どうぶつが最善の医療を受けるためには、どうするのが一番良いか」を一緒に考え手配してくれることは、とても心強いことです。

【 治療法や費用などについて、事前に詳しい説明をしてくれて、飼い主さんが選択し納得した上で診療を行ってくれるか】
病気の治療法は一つではありません。最先端の治療がそのどうぶつにとって最善の治療とは限らず、どうぶつの性格やご家庭の事情などにもよって、最善の治療法は異なってきます。さまざまな選択肢、そのメリットとデメリット、かかる費用などを十分説明してくれて、その中から飼い主さんが選択し、納得して治療を受けることができるかは、とても大切なことです。

 

病院の評判はどのように収集したらいいの?

 

病院の清潔さなどは飼い主さん自身の目で確かめられますが、「ウチの子を愛情いっぱいに診てくれた。あそこの病院はいいよ」「ウチの子は、他の病院では嫌がるけど、あそこの病院は違う。あそこの先生はどうぶつを扱うのが上手!」などの情報は、実際にその病院にかかった飼い主さんでなくては分かりません。

犬のお散歩で集う飼い主さんに、近所の動物病院事情を聴いておくのも良いですし、また、ペットショップで会った飼い主さんやインターネット上の評判などをみても良いでしょう。
うさぎやフェレット、鳥は、専門の病院さんに通ったほうが望ましい場合も多いので、インターネットやペットショップなどで該当するどうぶつに詳しい病院をチェックしておきましょう。
もちろん病院との相性もそれぞれですので、ご自分の目や耳、肌で得た感覚や情報を併せて選ぶようにすると良いかもしれません。

 

安い病院がよい病院?高い病院がよい病院?

 

獣医療は自由診療ですから、人の「保険診療制度」のような全国均一の料金体系がなく、診療費は個々の動物病院の裁量により決められています。
そのため、同じ病気に対する治療を行った場合でも、診療費に大きな違いが出ることがあります。

この診療費は、飼い主さんの間では、動物病院を評価するときの一つのポイントにもなりますが、実際は診療費だけで動物病院の良し悪しを評価することはできません。
価格の違いは、設備や技術、診察や治療の丁寧さの違いを反映している場合も多いからです。

診療費の安い病院は、もちろん「良心的な価格設定のために安い」ということもありますし、「それなりのことしか行っていない」という可能性もあります。

一方、診療費の高い病院は、高度な医療を提供するために結果的に診療費が高くなっている場合もあれば、残念ながらそうではない場合もあるかもしれません。

大事なのは、「診療費に見合った診療が行われていると、飼い主さんが納得することができるかどうか」ということではないでしょうか。

診療や治療を始める前に、どれくらいの費用がかかるかを提示してもらえれば、もちろん一番良いのですが、どうぶつの病気の状態は、個々で全く異なりますし、同じ治療を行ったからといっても同じ結果になるわけではありません。それぞれに対して必要な対応も 異なってきます。
そのため、商品の値段のように、あらかじめ明確な診療費を飼い主さんに提示するのが難しい場合もあります。
そのような中でも、インフォームドコンセント(※)をしっかり行い、診療費の面でも十分に説明を行って、飼い主さんの同意を得た上で診療を行うように努力されている動物病院さんもたくさんあります。
そのような誠意ある対応をとってくださる病院を選ぶことも大事でしょう。

※インフォームドコンセントとは、医療をする側(人の医療であれば医師、獣医療であれば獣医師)が医療内容について十分な説明を行い、診療を受ける側(患者および家族)がそれについて納得すること。

 

一番重要なのは、飼い主さんがその病院を信頼して任せられるか!

 

動物病院を選ぶときのポイントをいろいろと挙げてきましたが、もっとも重要なことは、「飼い主さん自身が、その病院と獣医師さんを信頼して最愛のどうぶつを任せられるか」という点であることは、いうまでもありません。
獣医師さんとの信頼関係を育むためには、相互の勇気や努力が必要なのは、もしかして家族や友人の間と同じなのかもしれません。それでは、どのようなことが望まれるのでしょうか、いくつか挙げてみました。

1.リラックスした雰囲気を作る
どうぶつは、診察の時の雰囲気から飼い主さんの気持ちを敏感に感じ取ります。飼い主さんが緊張していたり不安を感じていたりすれば、どうぶつもやはり緊張や不安を感じてしまい、獣医師さんやスタッフの方たちに対して、警戒心を持ってしまいます。このことは、診療に対してストレスを感じることになってしまいますので、病気やケガの治療にとって望ましいことではありません。

一方で、飼い主さんが病院に行くことを楽しんでいる様子であったり、獣医師さんやスタッフの方たちを信頼し仲良くしている様子が見られたりするのであれば、どうぶつも「病院は嫌な所じゃない。獣医師さんやスタッフの方たちも悪い人ではない」と感じ、リラックスできるようになったり、多少痛いことや嫌なことをされても、我慢できるようになったりします。

2. 聞きたいことは勇気をもって聞く
打ち解けた雰囲気や少しでもワンちゃんに望ましい治療の環境を作るためには、飼い主さん自身が心を開いて、獣医師さんやスタッフの方たちと良い関係を育む努力をすることも大切です。獣医師さんにもいろいろなタイプの方がいらっしゃいますから、普段から寡黙な先生や、必要以外のことはしゃべらないという感じの先生ですと、話しかけることに躊躇してしまうことも多いかもしれません。

しかし、人と人とが分かり合うためには、やはり「話す」ということが大事ではないでしょうか。
「こんなこと聞いていいのかしら?」と思うような小さなことでも、疑問に思ったことや分からないことは、飼い主さんの側からとにかく率直に質問してみてはいかがでしょうか。
その受け答えによって、その先生の人柄や誠意が分かることもあり、動物病院選びの情報を得ることになるかもしれません。また、「自分からはあまり説明してくれない」というタイプの先生だとしても、勇気を持って聞いてみることで、「この先生なら信頼できる」「この先生に任せておけば、うちの子は大丈夫」と飼い主さんが思える先生であることが分かるかもしれません。

3.元気なときに動物病院に慣れておく
どうぶつが重い病気やケガで病院に行く時は、どうしても深刻な雰囲気になりがちです。どうぶつの目に病院が楽しい雰囲気だと映るようにすることは、難しいのが現実ですが、どうぶつが少しでも良いイメージを動物病院に持つようにするためには、元気な時に動物病院に行くようにしておくと良いかもしれません。

健康診断、定期的な体重チェック、フィラリア症やノミダニの予防、定期的な検便、尿検査、その他何でも良いので、とにかく元気な時に動物病院にこまめに通って、先生やスタッフの人たちとコミュニケーションを取ることで、お互いを知り、少しでも打ち解けられるようになっていけたら良いですね。

 

動物病院に行こう その2 <受診する際の心配りについて>へ続く

 

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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みなさんからのコメント

Comment
猫命
2021-08-16 13:09:43
はじめまして。以前から気にはなっていましたが、コロナ禍でますます、飼い主の動物病院マナーを啓蒙して欲しい。のは、子犬一匹、仔猫一匹に家族連れでくる人々が多過ぎて。
待合室で大騒ぎやこちらは座れないとか。
しかも、現在のコロナ禍では絶対止めて欲しいのです。
どこも、誰も気付かないのかな?狭い待合室だとホントに迷惑です。

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