動物病院に行こう(2) <受診する際の心配りについて>

効率の良い診察を受けるためのポイント

1.普段お世話している人が病院へ連れていく
「普段の生活環境」、「食事や排泄の状態」、「いつから具合が悪いのか」、「詳しい病状」、「普段元気な時との違い」など、いろいろな細かいことを知ることで、より的確な診断ができるようになります。そのためには、どうぶつのお世話をしている方、どうぶつの様子を分かっている方がお連れになるのが理想です。

2.診断の助けとなるものを持参する
どうぶつは自分の病状を言葉で伝えることができません。飼い主さんは少しでも診断の参考になるものを持参していただき、獣医師さんに少しでも多くの情報をお伝えしましょう。
そして、このことが的確な診断や快癒につながると嬉しいですね。

(1)経過のメモ
「症状に気付いたのはいつか」、「何か生活上で変わったことはなかったか」、「症状の変化」、「食事量」、「排便排尿の回数」などが診断の大きな手掛かりになることがあります。また、咳や痙攣などの発作は、その日の天候や気圧、日常の出来事などに関係していることもあり、そのような情報も大変有用です。

(2)嘔吐物や排泄物など
下痢や嘔吐、オシッコの異常などがみられる時に嘔吐物や排泄物を持参することは、特に重要です。見た目だけでも大きな手掛かりとなりますし、検便、尿検査等に利用できることもあります。 
※「排泄物を持参する際のポイント」については次のページをご覧ください。
「オシッコをチェックしよう」
「ウンチをチェックしよう」

(3)症状を起こしている時の動画
病気の中には、実際にその状態を見てみないと区別が付きづらいものもあります。症状を起こしているときの動画があれば、診察の時に実際の症状がみられなくても、早期の診断が可能となります。
(例)
・「咳」と「くしゃみ」と「逆くしゃみ」
・「震え」と「けいれん」
・「てんかん発作」と「心発作」 など

(4)他院での検査結果や治療経過など
転院をされる場合、これまでの治療歴や経過が分かれば、検査の重複や不要な投薬を避けることができ、スムーズな治療につながります。できれば、それまでかかっていた先生に紹介状と治療経過を書いていただければ望ましいのですが、それが難しい場合には「既往症」、「ワクチン歴」、「今までの検査の結果」、「投薬中の薬の種類と飲み方」などを分かるようにして持参すると良いでしょう。

3.熱は家で測っておく
病気で受診するときはもちろん、予防接種や健康診断などで受診するときでも、体温測定は、健康状態の把握のためにとても重要なことです。しかし、通院するまでに走ったり、興奮したり、あるいは診察を待つ間に緊張をして、肝心の受診時には体温が上がってしまっていることもみられます。「体調不良で熱が高いのか」、あるいは「一時的に体温が上がっているだけなのか」の判断が難しく、ワクチン接種が延期になってしまうこともあります。できれば動物病院に行く前、お家で落ち着いている時に体温測定をしておくと良いでしょう。

動物病院ではお尻に体温計を入れて直腸温を測りますが、それが難しい場合には、ももの付け根のところに挟んで体温を測っていただくだけでも参考になる場合があります。犬や猫の平熱は38度台ですので、39度以上ある場合には発熱の可能性がありますし、37度以下であれば測定がきちんとできていない可能性もあります。なお、ウサギやフェレットの平熱は38.5〜40℃くらい、鳥さんは40〜42℃くらいです。ただし、平熱には個体差がありますので、できれば健康状態に問題がないときに定期的に体温測定をしておき、その子の平熱というのを知っておくと安心です。

4. なるべく余裕を持って受診し、診療時間終了間際や時間外の受診は避ける
動物病院によっては、診療時間の終了後に手術や往診、予約診療などの予定が入っていることも多くあります。状況によっては検査や処置にかなりの時間を要することもありますが、診療時間の終了間際や診療時間外に受診すると、必要な検査や処置が十分に出来ない場合があります。診療時間内に余裕を持って受診するようにしましょう。

 

受診するときのマナー

 

動物病院には、様々などうぶつが飼い主さんに連れられて来ます。
みんなが気持ち良く診察を受けるために、最低限のマナーを守りましょう。

1. 動物病院では必ず「リード」や「クレート」などを利用する
普段は飼い主さんの隣に静かに座っていられる子でも、「動物病院での診察」という非日常的な緊張する場面では、急に逃げ出したり走り出してしまったりすることがあります。また、待合室で他の犬に吠えられたり飛びかかられたりして、びっくりしてケンカになってしまうこともあります。我が子の安全を守るためにも、必ずリードをつけるか、クレートなどに入れるようにしましょう。

興奮しやすい猫の場合は洗濯ネットに入れた状態でケージに入れて病院に連れて行くようにすると、診察のときにパニックになって逃げ出してしまうという事故も防げます。ネットに入れるのはかわいそうなようにもみえますが、猫の安全を守るために、とても有効な方法です。

2. 最低限のしつけは必要
診察台に上がったとき、ある程度飼い主さんの号令に従うことのできる犬は、診察がスムーズにできますが、診察台の上で大暴れをしてしまったり、先生と飼い主さんがお話することさえできないほど吠えてしまったり・・・、そのような状態では必要な検査や治療をするにも支障をきたします。診療が難しいという状況になると、鎮静や麻酔などの処置が必要になってしまうこともありますので、余計なリスクを負わせないためにも、日頃のしつけが大切です。

(1)しつけの基本は「アイコンタクト」
名前を呼んで飼い主さんを見たら褒めてあげましょう。このアイコンタクトを通して、「飼い主さんの声に注意を払う」という習慣を日頃からつけておくことは、たいへん重要です。また、犬には、「お座り」、「待て」、「ケージの中で静かにする」などのしつけをしておきましょう。
診察を嫌がる様子を見ると、飼い主さんも複雑な気持ちになってしまうかもしれませんが、飼い主さんが毅然とした落ち着いた様子を見せることは、「診察していただくことは、大切なことなのよ」ということを伝えるためにも、落ち着かせるためにも重要です。

(2)人の手を好きにさせる
「どこが痛いのか」、「どのように辛いのか」などの体の違和感を言葉で伝えることのできないどうぶつの診察を行う上では、視診、触診などの身体検査がたいへん重要です。犬に限らず、どのどうぶつでも、いろんな人に、体のいろいろな所を見せたり、触れられたりすることが出来るようにしつけておくと、診察や治療が非常にスムーズに行えます。
そそのために、まず「人の手は優しくて、温かい」と日頃から感じられるようにしておくことが大切です。どうぶつが気持ち良さそうにしているとき、自然な感じで肢先や口の中、眼のまわり、耳の中などの苦手な部位を少しずつ触ってみて、少しでも触ることができたら褒めてあげます。そのようにして、体の様々な部位を触られても嫌がらないように、普段から慣らしておきましょう。また、「日頃は触られることを嫌がらないのに、極端に触られるのを嫌がる」という様子が見られたら、その部分に痛みなどがあることもすぐに推測できますので、早期発見にもつながります。

3. 粗相をしてしまった時
普段はトイレのしつけができていても、膀胱炎や腸炎などで体調不良のときは、思わぬ所で粗相をしてしまうこともあります。また、慣れない環境にマーキングをしてしまったり、興奮や不安から粗相をしてしまったりすることもあります。病院内(敷地内も含む)で粗相をしてしまった場合は、必ず動物病院のスタッフの方に声をかけるようにしましょう。

膀胱炎のときのオシッコは尿検査に使える場合もありますし、下痢の便は検便に使えることがあります。オシッコの病気が疑われるときやお腹の調子が悪くて通院をしたときなどは、処理してしまう前に念のためスタッフの方に確認していただくと良いでしょう。

また、普段から院内に入るとマーキングしてしまったり、診察台に上がると暴れて排尿や排便をしてしまったりする犬などは、事前に排尿排便を済ませてから院内に入るという配慮も必要ですね。

 

診療時間外に具合が悪くなってしまったとき

 

1. まず電話をしてから
病気やケガは時間を選びません。かかりつけの動物病院さんの診療時間外に具合が悪くなってしまうこともあります。「とにかく早急に診て欲しい」というとき、動物病院の電気が点いているから、スタッフがまだいる時間だから・・・といって、いきなりどうぶつを連れて行ってしまっても、診察してもらえる状況にあるとは限りません。無駄足になってしまえば、かえってどうぶつに負担をかけてしまいます。まずは電話をして、つながるようであれば指示を仰ぎましょう。
 
2.緊急の状況下についてあらかじめ調べておく
かかりつけの動物病院に電話がつながらないようであれば、救急対応をしている他の動物病院を探すことになりますが、緊急の状況下で診てくれる動物病院さんを探すというのは、とても大変なことです。できればあらかじめ、そのようなときはどのように対処するか、かかりつけの先生とよくご相談しておいてはいかがでしょうか。知り合いの動物病院や、提携の緊急病院を紹介してくれる場合もありますし、持病のある子であれば、緊急薬を用意しておくなど、お家で対処できる方法を教えてくれることもあると思います。あらゆることを想定して、あらかじめ準備をしておくことは、いざというときの安心感にもつながり、大事なことといえるでしょう。

 

動物病院に行こう その3. <受診時に役立つポイント〜症状別〜> へ続く


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※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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