動物病院へ行こう(4) <動物病院を好きなところにしよう!>

 

「病院なんか、行きたくない!」と言う人間の子どもであれば、「少し我慢して、早く良くなろうね」などと話してきかせることもできますが、どうぶつたちにはそうはいきません。何だか分からないけど連れられて、注射や採血や検温など、痛いことや怖いことをされるのですから、「動物病院を好きだ」という子はわずかなのかもしれません。

それでも、動物病院はどうぶつたちが健康で明るい生活を送るためには、なくてはならない場所です。動物病院を上手に利用することは、治療だけではなく、病気を予防したり早期発見したりすることにもつながります。しかし、いざというときに、緊張や不安から身を堅くしてしまったり、大暴れをしてしまったりすると、適切な治療を受けることができません。「動物病院が好き」とまではいかなくても、せめて「嫌いではない場所」にしてあげるためには、どんなことに気を付ければ良いのでしょうか。

【こんな様子がストレスへの注意信号!】
「大暴れをする」、「唸る」、「シャーシャーいう」、「攻撃しようとする」などのように、行動に明確な変化がみられるのであれば把握もしやすいのですが、一見おとなしくしているようでも、次のような場合、病院や診察に対してかなり緊張して、ストレスを感じている可能性があります。

・体を固くしてじっとしている
・耳を伏せている
・尻尾が丸まっている
・肢の裏に汗をかいている
・瞳孔が開いている
・ずっと吠えている(鳴いている)
・病院から帰った後に吐いたり下痢したりする

【どうぶつの目に映る動物病院のイメージは?】
動物病院に行くと、お尻に体温計を突っ込まれ、注射をされ・・・どれもどうぶつにとってうれしくないことばかりですから、「病院=嫌なことをされるところ」というイメージができあがってしまうのも、無理もないことかもしれません。また「動物病院での治療」と「具合が良くなったこと」が、どうぶつの中で関連付けられて理解してくれると良いのですが、残念ながらそういうケースは少なく、「お腹が痛い」、「気持ちが悪い」などの不快感と病院の印象が重なって、余計に病院に対してマイナスイメージを持ってしまうことがあります。

【動物病院を好きな所にする具体策】
どうぶつたちはどうしても動物病院にマイナスのイメージを抱いてしまうことが多いのですが、少しずつプラスのイメージを積み重ねていくことでイメージアップにつなげることができます。
「動物病院」と「どうぶつが好きなこと」とを関連付けながら、少しずつ、時間をかけて慣らしていきましょう。どうぶつ自身も頑張ることを通して精神的な成長を遂げていきます。我が子の力を信じ、頑張った後には必ず褒めていただき、誇らしげな気持ちにさせてあげましょう。

 

1. 飼い主さんが頼れる存在になる

 

不安なとき、怖い思いでいるときにどうぶつを勇気付けるための大切なポイントは、飼い主さんが頼れる存在になることです。「飼い主さんのいうことであれば、間違いない!」、「嫌だけど、飼い主さんが守ってくれるから大丈夫!」・・・というように感じることができれば、どうぶつは「大丈夫!頑張ってみよう」と心強く感じるかもしれません。

どうぶつが不安や恐怖を感じているのではないか、というときほど、飼い主さんは落ち着いて、堂々と行動をすることが大切です。「あなたにとって大切なことなの。一緒に頑張りましょう!」とメッセージを心の中で送ってみましょう。

 

2. 用事がなくても、寄ってみる

 

「病院に行くと嫌なことをされる」のではなく、「病院に行ったら良いことがある」とどうぶつが感じるようにするため、いろいろな方法を考えてみましょう。例えば散歩好きな犬であれば、用事がなくても、大好きな散歩の途中で動物病院に寄ってみてはいかがでしょうか。車でのお出かけが好きな子であれば、ドライブの途中に寄ってみるのも良いでしょう。

大好きなオヤツなどを持参して、動物病院の外で与えると、動物病院に対して嫌なだけではなく、ご褒美をもらえるところ、という好ましいイメージを抱くようになるかもしれません。犬であれば、このとき、「オスワリ」と指示をしてから与えれば、「飼い主さんの指示に従うと良いことがある」ということを伝えることもできますし、落ち着く習慣をつけることにもなります。
オヤツでなくても、フードを少し一日の食事量から取り分けておき、一粒与えても良いですし、好きな オモチャで遊んであげたり、優しく撫でてあげたり、「ウチの子の好きなこと」をしてみましょう。

場所についても、動物病院の近くの歩道で、あるいは病院の方の許可があれば待合室に入って・・・など、いろいろなところで、気長に慣らしていきましょう。
中には、病院の建物を見ただけで身を堅くして嫌がることもありますが、そのような場合は、「もう少し近づくとどうぶつが反応するけど、まだ反応しない程度離れた場所」から始めていただき、病院の近くへ徐々に慣らしていくと良いでしょう。
また、動物病院の状況が許すようであれば、病院のスタッフの方にお願いして、オヤツをあげてもらったり、撫でてもらってもよろしいでしょう。

 

3. 人の手を好きにする

 

治療や予防のための手当ては獣医師さんの手で行われることがほとんどです。日頃から「人の手はとっても温かくて、信頼できるものだ」というイメージをどうぶつに持たせるようにしましょう。手を使って叱らないことも大切ですし、散歩中などに、「可愛いから触ってみたい」という方が急にどうぶつの頭上に手を出してしまい、どうぶつをびっくりさせないようにすること等にも注意をしましょう。

 

4. 診察台で先生やスタッフから好きなものをもらう

 

どうぶつの大好きなオヤツやオモチャを動物病院に持参して、処置の後に診察台で先生やスタッフの方からあげてもらってはいかがでしょうか。大好きなオモチャを見せて安心させてもよいでしょう。
「嫌なことをされちゃったけど、その後、いいことがあったからまあいいか!」と思ってもらうのが目的です。

注射の時などは好きなオモチャを見せたり、オヤツを食べさせたりして、気をそらせながら打っていただくと、食べることに夢中で注射されたことに気が付かないこともありますので、先生やスタッフの方にお願いをしてみても良いかもしれません。
歯磨き粉やサプリメントなどのチューブに入ったペースト状のもので、犬や猫の気に入る味のものがあれば、それを鼻先に持って行って少しずつなめさせておくのも犬や猫の気をそらすための有効な方法です。

ただし、病気での受診時や、健康診断の項目によって食事制限がある場合は、オヤツなどを与えることができないこともありますので、事前に先生やスタッフの方にご確認下さい。

 

5. 普段からリードやケージ、車での移動に慣らしておく

 

病院に行く時だけ「リードをつける」、「ケージに入れる」、「車に乗せる」というようにしていると、そのような準備を飼い主さんが始めただけで「ああ、病院へ行くんだ」と察知してしまうことが多くみられます。

そうすると、病院に行く前から、緊張状態になり、抵抗して飼い主さんと格闘することになりかねません。無理やり、リードをつけられ、ケージに入れられ、車に乗せられ、不本意なまま病院に向かい、そして緊張状態がピークに達したところで診察を受け嫌なことをされる、ということになってしまうと、病院に対して必要以上に嫌なイメージを持ってしまうことになりかねません。

余計な緊張や不安を与えないためにも、普段からリードやケージ、車での移動に慣らしておきましょう。
そのためには、「リードをつけたり、ケージに入ったり、車でおでかけしたりすると楽しくて、良いことがある!」という経験をさせることが必要です。具体的な方法については、以下をご参考になさって下さい。

 

・首輪、リードに慣れさせるには 
   散歩を楽しむ その1 
・ケージ(ハウス)に慣れさせるには
   ハウスを好きにする<犬>
・ハウスを好きにする<猫>>
・車に慣れさせるには
   楽しくおでかけしよう 車編

 

 

6. 他のどうぶつを怖がる子の場合は、待合室に注意!

 

動物病院の待合室は、いろいろなどうぶつが集まるところです。
小さな犬や猫などはケージに入れられていることが多いのですが、ある程度大きな犬の場合はリードにつながれてそのまま待っていることが多く、特に犬の苦手などうぶつにとっては、かなり緊張する場所です。

他のどうぶつが苦手な子を病院に連れて行く際には、「なるべく空いている時間帯を利用する」、「順番が来るまで車の中や病院の外などで待たせてもらう」などの方法をとると良いでしょう。
また、猫をケージに入れて連れて行く場合は、待合室の床にそのまま置くのではなく、椅子やベンチなど少し高い所に乗せて、タオルなどで覆って外が見えないようにしてあげると良いでしょう。

 

7. スタッフと飼い主さんが仲良くすることが最も重要

 

どうぶつにとって一番安心できる存在である飼い主さんが「リラックスしていること」、「楽しそうにしていること」が、「動物病院は嫌な場所じゃない」と感じる大切なポイントです。
できるだけ先生やスタッフの方と飼い主さんが仲良く打ち解け、明るく楽しい雰囲気で診察が受けられると理想的です。

注射や採血など嫌なことをされても、「痛いことされちゃったけど、飼い主さんが楽しそうにお話しをしている。悪い人ではないんだ。」と思ってもらえれば良いですね。
深刻な病気であったり容体が心配であったりするときは、なかなかそうもいかないかもしれませんが、飼い主さんの緊張や不安は、どうぶつにも伝染します。できるだけ重い雰囲気にならないように心掛けましょう。

また、飼い主さんが獣医師の先生やスタッフの方に不信感を抱いていれば、どうぶつは敏感に察し不安になってしまいます。できるだけいろいろなことを話せて、心から信頼できる先生に巡り合えることが、どうぶつにとっても一番幸せなことですね。

 

8. 怖がる犬をなぐさめない

 

怖がっている犬を撫でたり、なぐさめたりすると、犬の「怖い」という気持ちを助長させてしまうことになります。犬が怖がっていても、飼い主さんは平然となさっていたほうがよいでしょう。

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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