遺伝子疾患について知ろう!

「遺伝」って、何だろう?

「遺伝」とは、形質(形や性質、特徴のこと)が親から子へと引き継がれることです。親と子供、兄弟姉妹が似ているというのも、親から子へ形質が引き継がれているためです。

 

「遺伝子」って、何だろう?

 

「遺伝子」とは、形質が受け継がれることの、もととなる因子です。この「遺伝子」が生物の体にあることによって、形質が親から子へと引き継がれていきます。

「遺伝子」はDNA上に存在します。このDNAは4つの塩基配列からなる二重らせん構造をしていて、細胞の核の中にあります。DNAの全てが遺伝子ではなく、このうち蛋白質合成の設計図になる塩基配列が、「遺伝子」と呼ばれています。

 

「染色体」って、何?

 

DNAが折りたたまれた状態となっているものが「染色体」です。普段は見られず、細胞分裂のときに見られ、生物の核の中に存在する染色体の数は動物種によって異なります。人では46本、犬は78本、猫は38本の染色体を持っています。

 

「遺伝性疾患」とはどんな病気なの?

 

遺伝子は体を作る設計図です。この遺伝子に変異(つまり設計図に異常)が起きると、作られる蛋白質が異常であったり、作られるべき蛋白質が合成されなかったりすることが起こります。このため、体に障害が起こり、病気が引き起こされます。この異常な遺伝子が引き継がれることによって、肌の色や目の色のような形質が引き継がれることと同様に病気も親から子へと引き継がれてしまいます。

 

「遺伝性疾患」にはどんな種類があるの?

 

?)単一遺伝子疾患:一つの遺伝子変異によって引き起こされる疾患。
両親から変異遺伝子を受け継ぐと発症する場合(劣性遺伝形式)と片親からの変異遺伝子を受け継ぐと発症する場合(優性遺伝形式)があります。
 例:劣性遺伝形式をとる疾患⇒セロイドリポフスチン症(CL症)、進行性網膜萎縮症(PRA)など
   優勢遺伝形式をとる疾患⇒ペルシャ系ネコの多嚢胞腎など 

?)多因子性疾患:複数の遺伝子と環境要因が関与する疾患。
 例:股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、先天性心疾患など

現在判明している遺伝性疾患の数は?(2010年6月現在)
・ 犬で現在判明している遺伝性疾患:約500種
・ 猫で現在判明している遺伝性疾患:約300種

 

「遺伝性疾患」を予防するためには?

 

遺伝性疾患を持って生まれてしまった子は、遺伝子自体に異常があるため、残念ながら発症を予防することができません。人の分野では遺伝子治療の研究が進められていますが、動物においてはまだほとんど確立されていません。交配の段階で変異遺伝子を持っている可能性がない両親を選んで交配することが、遺伝性疾患を抱える子を増やさないことにつながります。遺伝性疾患に対する知識をもち、「遺伝性疾患を抱える子の場合には交配をしない」、「交配を考える際には、遺伝子検査を事前に行う」などの対処が重要になります。

 

「遺伝子検査」って何?

 

病気の原因となる遺伝子変異が判明している場合、遺伝子のタイプを調べることで発生のリスクを知ることができます。現在判明している遺伝性疾患の中にも、遺伝子検査ができるものとできないものがあります。検査を行うには、対象となる個体の細胞(口腔粘膜や血液、被毛等)を採取し検査を行います。他の検査などに比べて、比較的少ないサンプル量でも検査ができるため、新生子の場合でも検査を行うことができます。

 

 

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