どうぶつとアロマテラピーとの相性について

 

「素敵な香り・・」と、ほっとしたり、癒されるような気持ちになったとき、アロマがたかれていた、というような経験をなさった方も多いのではないでしょうか。アロマテラピーを利用したくつろぎのテクニックは、ストレス社会で生活する私たちにとって、今や大切な存在ですね。日常的にアロマを利用するご家庭も多くなりましたが、同じ空間で過ごす我が家のどうぶつたちの健康上の影響はないのでしょうか。

 

 

アロマテラピーって何?

 

 

植物の花、根、樹皮、葉、種子や果実などを水蒸気蒸留したり、抽出したり、あるいは圧搾して得た揮発性の物質は、精油またはエッセンシャルオイルと呼ばれています。
アロマテラピーは、ホリスティック医療の観点から行う「精油を用いた療法」です。
精油をお湯に薄めたり、熱したりすると、空気中に素晴らしい香りが放たれます。この空気中に漂う精油の香りをかいだり、吸入したり、マッサージに使用して経皮的に吸収されることにより健康をサポートします。
※ホリスティック医療とは、体全体の調和という観点から、本来の自然治癒力を高めることを治療の基本とする医療を指します。

 

 

アロマテラピーの作用のメカニズム

 

 

アロマテラピーで用いられている精油の香りは身体の中でどのように伝達され、効果を発揮しているのでしょうか。香りの成分は鼻の奥にある嗅覚器で受容された後、本能や感情などを司る大脳辺緑系に伝わり、さらに視床下部へと伝わります。視床下部では、私たちの体の恒常性を保つために、自律神経系や内分泌系(ホルモン調節)、免疫系を調節しているのですが、ストレスなどによりその働きが低下するといわれています。精油の香りによってリラックスすることにより、自律神経のバランスが整い、免疫機能も向上するため、健康維持や心と体のバランスの調整効果があるのではないかと考えられています。
また、アロマテラピーは嗅覚を通して効果を示す以外にも、肺から吸入することで血流に乗って、あるいは皮膚の表面を通して吸収されて全身を循環することで効果を発揮します。

 

 

どうぶつにとっての嗅覚とは?

 

 

情報のほとんどを視覚から得る人間とは異なり、犬や猫はその場にいないどうぶつの情報を嗅覚によって得たり、特有の匂いをフェロモンとして利用してコミュニケーションを取るなど、嗅覚を通して得る情報の割合は高いとされており、嗅覚は大変重要な役割を担っています。
飼い主さんがアロマテラピーを利用するときには、犬や猫は嗅覚に対する感受性が人間よりも高いこと、犬や猫の体に及ぼす影響は人間とは異なることを意識することが大切です。

 

 

犬とアロマテラピーの相性について

 

 

アロマテラピーを楽しむご家庭の増加に伴い、犬のアロマテラピーも行われるようになってきました。最近では精油を用いたマッサージを利用することなども増えてきています。しかし、まだまだ歴史は浅く、開拓中の面もあり、犬に対する精油の効果や安全性について、はっきりとした研究データや治験データがなく、賛否両論あるというのが現状のようです。
現在のところ犬に使用しない方が良いといわれている精油のタイプは幾つかありますが、一般的には精油を室内でたく芳香浴程度であれば、ほとんど安全性として問題はないといわれています。
ただ、人間の100万倍以上の嗅覚を持つともいわれる犬たちですので、使用する濃度や香りの好みに気をつけてあげた方が良いでしょう。
また、一般に「アロマオイル」として販売されているものの中には、精油をアルコールやキャリアオイルなどで希釈したり、合成香料や不純物を含んでいたりするものもありますが、犬のいるお部屋で使う場合には純度100%の精油(エッセンシャルオイル)を使用することが望ましいでしょう。
また、犬が精油を口にしたり、皮膚に直接触れたりしないように注意をしましょう。成分の変化を防ぐため、キャップをしっかりと閉めて保管することも大切です。

精油を選ぶ際には、人間での使用が勧められており安全性が高いと考えられている精油の中から選ぶのが良いのではないでしょうか。
一般的には、ラベンダー、カモミール、ゼラニウム、クラリセージ、ユーカリ、マジョラム、スイートオレンジ、ベルガモット、ネロリ、ペパーミント、ローズ、イランイランなどがよく使用されているようです。その中でも、ラベンダー、カモミール、クラリセージ、マジョラム、イランイランはリラックス効果が高く、スイートオレンジ、ベルガモット、ネロリなど柑橘系の香りは、気分を明るく元気にしてくれる作用があるといわれています。このような精油の中から、飼い主さんにとっても、犬にとっても、好みの香りを選んでいただくとよいでしょう。
ほんの少しティッシュなどに垂らして犬にかがせてみて、嫌がったり、落ち着かない様子が見られるようであれば、犬の好みでない可能性があります。
特に、香りをかいだ後、うろうろと歩き回ったり、息を切らしたり、くしゃみをしたり、よだれをたらすような場合には要注意です。

好きな香りが見つかったら、初めは飼い主さんと一緒にくつろいでいる時など、犬が精神的に  安定しているときに使用してみるとよいでしょう。
精油の香りと飼い主さんと一緒の幸せな時間の記憶が結びつくことで、その香りをかいだ時のリラックス効果がより高いものになるといわれています。犬の様子を見ながら、初めは少量、短時間から  始めてみましょう。

ただし、子犬や妊娠中の犬、高齢の犬、病気治療中の犬の場合には、状態によって使用しない方がよい精油もあります。
また、マッサージやスプレー、温湿布など皮膚に直接使用する場合には、他にもいろいろと注意する点がありますので、犬のアロマテラピーについて詳しい動物病院の先生にお尋ねになったり、本などをご参考なさったりしてください。

 

 

ネコとアロマオイルとの相性

 

 

香りの成分は化学物質の、目に見えないごく小さな粒です。この粒が鼻粘膜に接することで匂いを感じます。体内に取り込まれた化学物質は肝臓の解毒酵素で分解され排泄されます。
ところが、猫は解毒に関係する酵素を一部合成できないため、精油の成分を十分に代謝できないことが一般的です。そのため猫は精油に対して中毒を起こす可能性が高いのです。中毒を起こすと、よだれを流す(流涎)、ふらつきなどの運動失調などがみられます。皮膚から、あるいは肺からの吸入によって精油が体内に入った場合でも、猫に毒性があるともいわれています。
猫によって感受性が異なるため、精油を体内に取り込んで中毒を起こす量は一定ではありませんが、精油を猫と同じ空間で楽しむことは避けるようにしましょう。
万が一、アロマテラピーをして猫の様子がおかしい感じた場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。受診の際には、アロマテラピーをしていたことと精油の成分を先生にお伝えください。
なお、ウサギやフェレット、鳥といった小動物たちも、猫同様、中毒には十分な注意が必要です。

 

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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