概要
Overview一般に「認知症」と呼ばれる犬の高齢性認知機能不全症候群は、脳の老化に関連して起こり、刺激に対する反応の低下や、学習能力・記憶能力の低下が認められる病気を指します。
近年では獣医療の進歩に伴って犬の高齢化が進み、その結果、老齢に伴う認知症が増加しています。
症状の一つである異常な夜鳴き、昼夜逆転などにより、飼い主の不眠や隣家への影響などの問題が発生するケースも見られます。
発症には年齢が大きく関係し、11歳以上の犬では約3割、15歳以上の犬では、6割以上で何らかの症状がみられるという報告があります。
日本国内では、柴犬などの日本犬や日本犬系雑種に多く発生すると過去に報告されていますが、国外では、ヨークシャーテリアに多いという報告もあり、どの犬種でもみられるといわれています。
※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。
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原因
老化や遺伝による脳神経の障害が原因で発生するといわれています。
症状
一般的に下記のような症状がみられます。
・ぼんやりする
・飼い主の呼びかけに反応しない
・夜鳴き
・失禁
・徘徊
・食べたことを忘れる
・狭いところに入り込んで出られなくなる
・昼夜が逆転した生活
治療
確実に有効な治療法は確立されていませんが、環境・行動の調整、栄養補助、状態に応じた薬物療法などが用いられます。
また、行動変化が他の病的な要因から発生しているケースもあるため、認知機能不全の他に病気が隠れていないかについて必要に応じた検査を行うことも重要です。
■環境・行動の調整
部屋の模様替えなどストレスとなりうる環境の変化を極力少なくすることや、楽しいトレーニングや遊びを取り入れ、脳を刺激し、負担にならない程度の軽い運動を取り入れることが良いといわれています。
■栄養補助
初期症状の場合に脂肪酸(代表的なものにエイコサペンタエン酸:EPA、ドコサヘキサエン酸:DHA)などの抗酸化作用のある成分を含んだサプリメントやフードを与えることで症状を改善したり、進行を遅らせることができると知られています。
ほかに、不安をやわらげる効果を期待して、ミルクプロテイン由来のサプリメントを使用することもあります。
■薬物療法
海外では、ヒトのパーキンソン病で使用される薬物が認知症の動物治療薬として認可されていて、国内でも使用されるケースがあります。症状に合わせて、不安症が強い場合には抗うつ剤を使用したり、不眠に対して抗不安薬なども用いられます。
予防
脂肪酸などの抗酸化作用のあるサプリメントの投与が予防に有効といわれています。
また、日常生活において負担のかからない程度の散歩やスキンシップなどの刺激を与えることで、発症の予防・進行を遅らせる可能性があるといわれています。
また、認知症によって行動の変化がみられた場合には、犬の状態に適した環境を維持してあげることが大切です。快適な温度や湿度を保ち、事故が起こらないような安全な環境を配慮してあげましょう。
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認知症の主な症状は夜鳴き、徘徊、粗相、誤食等です。散歩後等の高揚時や、何らかのストレスが溜まっている時に気持ちが抑えきれずに走り出してしまうことがあります。
走り出すタイミングが分かっていれば、走り出す前におやつなどへ意識を向けてクールダウンさせてみましょう。また、血液検査だけでは分からないこともありますので、普段の様子に変化があればご通院頂くことをおすすめします。
行動の変化が他の病的な要因から発生しているケースもあります。そのため、他に病気が隠れていないかを判断するためにも、一度、受診されることをお勧めいたします。また、身体に負担のない範囲でのお散歩や、ご家族さまとのスキンシップは大切ですが、認知機能が落ちることで、ぶつかってしまうなどの事故が起きやすくなります。日常の生活の中で、怪我をしないような安全な環境を配慮してあげることも重要です。