脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう) <犬>

概要

Overview

脊髄は脳と繋がっている神経の束で、脳からの指令を体に伝えたり、体からの情報を脳に伝えたりする役割を担っています。脊髄は内側から軟膜、クモ膜、硬膜という3つの膜で包まれており、軟膜とクモ膜の間をクモ膜下腔(くもまくかくう)といいます。
このクモ膜下腔は脳脊髄液で満たされており、外部からの衝撃から脊髄を守るクッションのような役割をしています。脳脊髄液は脳室で産生され、少しずつ吸収されながら脳や 脊髄の周りをゆっくり流れています。
先天性、あるいは後天性の原因により脊髄内に空洞が生じ、その空洞内に脳脊髄液と同様の液体が満たされ、脊髄を内側から圧迫してしまうことがあります。そのため脊髄の機能に障害が生じ、さまざまな症状をおこす病気が脊髄空洞症です。

※コメント欄は、同じ病気で闘病中など、飼い主様同士のコミュニケーションにご活用ください!記事へのご意見・ご感想もお待ちしております。
※個別のご相談をいただいても、ご回答にはお時間を頂戴する場合がございます。どうぶつに異常がみられる際は、時間が経つにつれて状態が悪化してしまうこともございますので、お早目にかかりつけの動物病院にご相談ください。

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原因

脊髄空洞症の原因には先天性と後天性があります。先天性では、頭蓋後部を形成する後頭骨の奇形(キアリ様奇形)により小脳後部が頭側に圧迫されて、脊髄空洞症を引き起こします。また、小脳が脊柱管内に突出しているような奇形でも脊髄空洞症を引き起こします。
後天性の原因は腫瘍や炎症、外傷などに関連して発症します。
いずれにしても脳脊髄液の流れが変化した結果、脊髄内に液体を含む空洞が形成されると考えられていますが、その詳細なメカニズムは未だ不明です。脊髄空洞症から水頭症を引き起こすこともあります。

症状

空洞の部位と広がり具合により、無症状から重度の四肢麻痺までさまざまです。
また、症状が進行する場合としない場合があります。
軽度の場合には感覚障害として首、体幹部(胸腹部・胴体部分)の引っかき行動、手足の先端を舐める行動、仰向けになって背中を床にこすり付ける行動が見られます。ただし、初期の症状は健康な犬にも見られる行動ですので、いつもの様子と何か違うような気がする時には、あわてず、まずかかりつけの病院さんに相談してみましょう。他にも「どこかに痛みがあるようだ」、「跛行※(はこう)する」、「足を挙げたまま地面に着けようとしない」、「体に触れられるのを嫌がる」、「音や振動に過敏に反応する」などの症状を認めることもあります。
症状が進行し重度になると、四肢の不全麻痺(わずかに動かしたり、わずかに感覚が残っている状態)がみられたり、「首の側弯(そくわん)」がみられたりします。「首の側弯」とは、上から犬をみたとき、正常ではまっすぐな首が曲がってしまっている状態を指します。先天的な後頭骨の形成不全を伴う場合は、犬の首が片方に傾いたままになる「捻転斜頸(ねんてんしゃけい)」や筋肉の収縮が長く続いて筋肉がこわばった状態になる「強直性痙攣(きょうちょくせいけいれん)」などを起こすこともあります。
※何らかの疾患や怪我がもとで正常な歩行ができない様子が跛行です。

治療

治療には内科治療と外科治療があります。
内科治療の目的は症状の軽減と空洞の拡大による進行を抑制することとなります。症状にもよりますが、消炎鎮痛剤や脳脊髄液産生抑制剤、ステロイド剤を用いることが一般的です。
外科治療の目的は、髄液の動態の異常を改善する目的で行われます。手術の様式は「後頭骨を部分切除する方法」や、脳室からお腹に余分な脳脊髄液を排出するため、「弁の付いた管を設置する手術」を行うこともあります。
手術により脊髄の圧迫を速やかに軽減することができるため、重度の麻痺がある犬には手術を実施することがあります。
外科的治療を行う場合は、麻酔のリスクや手術後の安静期間、ケア方法、費用等につきましても、かかりつけの動物病院さんによくご相談ください。

予防

予防をすることは困難です。早期発見、早期治療が重要になりますので、上述のような症状がみられた場合には早めに動物病院を受診しましょう。

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みなさんからのコメント

Comment
のんのん
2021-11-28 16:11:05
我が家のチワワは生後9ヶ月の時に発症し、3ヶ月間脳圧を下げる薬を投薬中。
大分良くなりましたが、足の不自由は回復せず階段昇降は無理、急に転ぶ状況。
背骨も曲がり始めたのでこのままの治療で良いか悩みます。
マコさん
2021-10-28 15:02:27
3歳のチワワです。ブリーダーさんが手放したので、我が家に来ました。2歳で来て、来た時から後ろ足が交差した状態でたってました。二月に避妊手術を受けて、3月の終わり頃から後ろ足がすべるようになって。疑ありという事で、ステロイドを投薬。その後、ガバペンチンを投薬。約半年くらいで、また滑り始め、歩く時の初めが歩きにくそう。で、また、ステロイドを5日分頂きました。脚は、快調です。薬も強いので心配。
くおん
2021-06-08 13:19:27
挫折した飲み薬
イソバイド:動物病院からこの薬を使う子がいてないとの事でシロップではなくイソバイドのボトル1本500㏄を買って飲ませていましたが、苦みが強いのかシリンジで口に入れても、何に混ぜても飲み込まず口から垂れ流して拒否。グリセリンのみに変更。
漢方薬:他県の動物病院より取り寄せましたが、粒が大きく苦みが強いので粉にしたり、ピルポケット等色々試しましたが断固拒否で発作を起こし諦めました。
くおん
2021-06-08 13:05:26
続き
今年に入ってからの統計ですが家の子の発作は気圧で下がる時ではなく、底から上がり始めた時にてんかんの発作を起こすのでアプリで、気圧を確認しながら飲み薬の量を調整しています。
病気が判ってからそういえばと思っていた事、散歩中によくけつまずく事、前足の手首の所を噛んでいた事(痺れがあったのかも)散歩のとき顔が下向きだった(首に違和感があったのかも)首を触るのを嫌がっていたとかがありました。
くおん
2021-06-08 12:52:17
続き
4輪の車いすも用意しましたが、四肢が弱っているので乗せるだけになっていて今の状態では使いようが無いですね。
今後どうしようか思案しているところです。このまま介護状態で良いのか犬のマッサージも連れて行ってましたがどうなのか変化は見えず、針に行こうか思案中です。
今の状態の投薬はコンセーブと脳圧を下げるグリセリン(ドラックストアで購入)のみです。続く

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