「世界狂犬病デー(WRD:WorldRabiesDay)」って何?

「世界狂犬病デー」とは

今なお世界中で猛威をふるい続ける狂犬病の撲滅を、地球規模で呼びかけることを目的に、世界保健機関(WHO)・国際獣疫事務局(OIE)・EUの合同会議で2007年に定められたのが「世界狂犬病デー(World Rabies Day)」です。
なお、2008年からは毎年9月28日が「世界狂犬病デー」となりました。

 

「世界狂犬病デー」が定められた経緯と目的、及び成果について

 

◇経緯について
世界における狂犬病対策を目的とした地球規模の団体(Alliance for Rabies Control)が2006年、欧米の研究者や専門家を中心に結成され、その活動の一環として「世界狂犬病デー」が定められ、世界中に向けて活動参加の呼びかけが開始されました。

◇目的について
「世界狂犬病デー」の目的は、ヒト及び動物における狂犬病が、いかに簡単に発症を防ぐことができ、また、どのようにすれば撲滅できる病気であるかを知ってもらうことです。

◇成果について
2009年には世界105ヶ国、77.5万人がこの活動に参加し、推定2000万人に対して狂犬病に関する教育がなされました。また、130万頭の犬に狂犬病ワクチンが接種されました。

 

狂犬病ってどんな病気?

 

哺乳類全般に感染する伝染病です。
狂犬病ウイルスに感染した動物の唾液中には、感染源であるウイルスが含まれていますから、感染動物に咬まれることによりウイルスが伝播します。全ての哺乳類に感染し、人にも感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)です。 

狂犬病については、以下の記事をご覧ください。
「人獣共通感染症(ズーノーシス)1.狂犬病」
「狂犬病について知ろう!」
「狂犬病予防法」

また、以下、「厚生労働省」「世界狂犬病デー」のホームページもご参照ください。

 

世界での狂犬病の現状

 

狂犬病は世界中のあらゆる地域、多くの国で発生しており、2020年6月現在、狂犬病ウィルスが撲滅され、存在しないとされる清浄国・地域は全世界で6地域(農林水産省の指定)のみです。 ちなみに、日本以外の清浄国は、オーストラリア・アイスランド・ニュージーランド・ハワイ・グアム・フィジー諸島のみとされています。
台湾やイギリス、ノルウェーなども長らく清浄国でしたが、2012年から2013年にかけて野生動物で狂犬病の発生が認められました。この発生を受け、農林水産省はこれらの国をを非清浄国として扱うこととなりました。

厚生労働省ホームページ

日本獣医師会ホームページ


 WHO(世界保健機構)の報告では、今なお世界で毎年35,000〜50,000人が狂犬病感染の犠牲となっていますが、コントロールが困難な狂犬病の感染経路は次の2つのパターンに分類されます。
1つは「都市型狂犬病」、もう1つは「森林型狂犬病」です。

「都市型狂犬病」とは、狂犬病ウイルスに感染しやすい種とされる犬や猫が街中をうろついて感染をしてしまい、その後、人に感染させてしまうというものです。発展途上国での発生に多くみられ、狂犬病ワクチンの接種により感染をコントロールできる可能性が高いのですが、ワクチンを製造、接種することが経済状態などで難しい状況にあるのが現状です。
「森林型狂犬病」とは、狂犬病ウイルスを体内に隠し持っている野生動物が人や犬、猫などの哺乳動物を咬むことにより、感染するというものです。このタイプの感染は先進国での発生が多いのですが、野生動物にワクチン接種をするということが困難なため、コントロールが難しいのが現状です。 個人レベルでの予防策として、野生動物との接触に際しては、正確な知識と良識をもって行うことが必要です。

 

日本の狂犬病撲滅への歴史と現状

 

日本における狂犬病の発生については、10世紀頃の発生が記録として残っています。(日本最古の医学書『医心方』)  江戸時代や明治時代にも流行が相次ぎ、狂犬病の発生件数が多数記録されています。
一方、フランスでは1885年に細菌学者ルイ・パスツールが狂犬病ワクチンを開発し、それまでは感染を予防出来えなかった狂犬病の防御策が生まれました。
度重なる狂犬病の発生に見舞われた日本ですが、1950年に狂犬病予防法が制定され、年1回のワクチン接種が義務付けられたこと等により、狂犬病ウィルスの撲滅に成功、現段階においてウイルスが存在しないとされる、狂犬病清浄国になることができました。
しかしながら、現在の日本における狂犬病ワクチン接種率は約50%以下であるといわれており、WHOが勧告する「狂犬病の流行を阻止できるワクチン接種率は70%である」という点からみても、現状の日本に海外から狂犬病が仮に侵入した場合には、狂犬病の流行を抑えることが難しく、大流行となってしまう危険性が大いにあると考えられます。

 

狂犬病を防ぐために

 

今日の日本が狂犬病清浄国であることは、先人達の血のにじむような努力がなくては為し得なかった偉業であることを再認識し、洗浄国であることに甘んじることなく、危機意識を持つことが重要です。また、今後も日本が清浄国であり続けるためには、飼い主さんが犬にきちんと狂犬病ワクチン接種を行うこと以外に道はないといえるでしょう。

 

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